茨城県北ロングトレイル “夢の里山道”開通 大子区間先行12キロ 歩き初め、絶景「最高」
茨城県北地域6市町の里山や観光地をつなぐ全長320キロの里山道「茨城県北ロングトレイル」が28日、大子町内の12キロ区間で先行して開通した。県北振興の目玉事業として、2018年から県が地元6市町(日立、常陸太田、高萩、北茨城、常陸大宮、大子)や愛好家らと、コース設定や森林整備を進めてきた。同日、大井川和彦知事や関係者が一般愛好者らと、絶景を楽しみながら真新しい里山道の“歩き初め”を行った。
同事業は、県南地域を中心とした全国屈指の自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」と同様に、県北地域の豊かな自然や歴史など地域資源の魅力を県内外の多くの人に知ってもらう目的がある。県がアウトドア専門店「ナムチェバザール」(水戸市)社長の和田幾久郎さんに事業委託し、コース設定などに取り組んだ。
開通したのは、コース全体の中央部の大子町区間約12キロで、月待の滝付近-生瀬富士-鍋転山-月居山-町営袋田第一駐車場のコース。「320キロはまだまだ先が長いが、スタートを切れたことは大きな喜び」と和田さん。袋田の滝を見下ろせ、生瀬富士の360度パノラマの眺望、清流を渡るコース、久慈川やJR水郡線、街を見渡せるポイントなど見どころが多いコースで、和田さんは「山々に囲まれながらも、生活が密接に関わる里山文化、ロングトレイルの魅力が凝縮されている」と話した。
開通式では、主催者を代表して大井川知事が、和田さんと構想を始めた3年前からを振り返り、「県北の新しい顔として新しい流れをつくりたい。良い意味で皆さんの期待を裏切る茨城県でありたい」とあいさつ。地元大子町の高梨哲彦町長や石井邦一県議会副議長らと道標設置セレモニーを行った後、一般の愛好者らと歩き初めを行った。
前日に、2019年の台風19号(東日本台風)による被害から復旧して全線開通したばかりの水郡線の汽笛が聞こえる中、久慈川を見下ろす絶景コースを歩いた一行。大井川知事は「最高だね。気持ちいい。改めてこんな素晴らしい景色のある茨城県の魅力を再発見した。1泊して地元の食や温泉を楽しんだりして、多くの人に楽しんでほしい」と笑った。
同コースについて、県県北振興局の担当者は、「普通の人ならゆっくり歩いて全部で7、8時間かかる。トレイルランの人なら2、3時間」と説明。コースの要所要所に設置された道標にはQRコードが付いており、スマートフォンで読み込むと、現在地が確認できる地図が見られる。
来年度中には同コースを延伸し、常陸大宮市の篭岩や常陸太田市の東金砂神社、鍋足山などをつなぐ56キロのコースを整備する予定。
★ロングトレイル
「歩く旅」を楽しむために作られた道。登山とは異なり、登山道やハイキング道、自然散策路、里山のあぜ道を歩き、地域の自然や歴史、文化に触れることができる。日本ロングトレイル協会によると欧米発祥で、国内でも近年、健康や自然への関心が高まり、コース整備や計画が各地で進む。信越トレイル(80キロ、長野県飯山市)や高島トレイル(80キロ、滋賀県高島市)がある。
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