《旬もの》山口farm(小美玉市) 有機肥料でレンコン栽培 節ごとに変わる食感

茨城新聞
2020年11月24日

全国的に知られるレンコンの産地、霞ケ浦の湖畔。小美玉市玉里地区にある山口farm(ファーム)のハス田で泥水に漬かって、レンコンの収穫が行われていた。

社長の山口正博さん(41)が「見た目以上に味がいい」と胸を張る同社のレンコンは、化成肥料を使わず、土壌に合わせて独自配合された有機質肥料で栽培している。農薬はほとんど使わない。契約している県外のスーパーや飲食店などに出荷される。歳暮やおせち料理に需要が高く、年末に向け収穫や出荷に忙しくなる。

6月はハウス栽培、露地物は7月から翌年4月ごろまでと、同社ではほぼ一年を通じて収穫が行われる。「夏はみずみずしく、サラダがお勧め。寒くなり味が乗ってきたら焼くか煮物がいい」と季節で違った味わいが楽しめる。

レンコン農家に生まれた山口さんは県内の業務用野菜の加工・販売会社に勤めていた頃、「こだわりの野菜なら売れる」と手応えを感じた。32歳で「きつく、汚く、休みもないといわれがちな農業のイメージを拭い去りたい」と就農。農作業で腰を悪くした父の清さん(69)がレンコン農家を諦めた直後の決断だった。「ラクする農業、もうかる農業」をモットーに2018年法人化。「設備導入や外注で作業を効率化し、休日を生み出す」と働き方を改革するなど将来性ある農業を目指す。

生のレンコンを出荷するだけでなく、新鮮な状態で届けたいと真空パックした製品をインターネットで販売する。「節ごとに変わる食感を楽しんでほしい」と正博さん。加工品にも取り組んでおり、薫製レンコンは「シャキシャキした歯触り」を保つために試行錯誤して出来上がった。

真空パックと薫製レンコン

現在のブランド名「パールレンコン」は、農業を始めた頃、泥田から出てきたレンコンがあまりに白くきれいで「真珠と同じ」と感動したことから名付けた。来年1月からは「BIG(ビッグ)れんこん珠美(たまみ)」に変更する。「うちのレンコンはふっくらと丸みがあり、珠のように美しい」という思いを込めた。

ハス田近くの作業場では、会長を務める清さんの姿があった。掘りたてのレンコンを専用の包丁で根などの余分な部分を切り取っていく。洗浄する機械に通すと、白く輝く姿が現れた。

■メモ
山口farm
▽住所は小美玉市下玉里740の1
▽(電)0299(57)1791

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