《食いこ》野菜で海外旅した気分に 「オラソル アシエンダ」(古河市) 

茨城新聞
2020年10月22日

街中にある畑で、土から顔をのぞかせる真っ赤なカブのような根菜ビーツ。茎も赤く、葉はホウレンソウのよう。大きな葉を広げ、3メートルほどの高さの木になる青パパイアが目を引く。

古河市の農園「オラソル アシエンダ」は「旅する野菜」をコンセプトに、日本ではあまりなじみのない野菜を作る。代表の阿部直人さん(45)は、スーパーには並ばないような野菜が食卓に上り、日本に居ながら海外を旅した気分を味わってほしいという思いを込める。

ビーツ、青パパイア、ズッキーニを3本柱に、西洋野菜のフェンネルやアーティチョークなどを除草剤や殺虫剤を使わずに約80アールを栽培。通販サイト「食べチョク」や古河市の道の駅に出している。

地中海原産とされるビーツはホウレンソウと同じアカザ科で、ほのかに甘い。鮮やかなルビー色が食卓を華やかに彩る。ロシア料理のボルシチで知られ、サラダやスムージーなど生でも食べられる。同農園では真夏以外は収穫でき、時季によっては東京の豊洲市場にも出荷する。「栄養価の高さから注目の野菜」と広報や出荷などを担当する妻の美穂さん。加工品のビーツケチャップは味や濃度にこだわり、幅広い料理に応用できる。料理人向け情報誌の全国100選に認定されたこともある。

青パパイアは完熟前で、果物ではなくタイ料理のサラダなど野菜として利用する。9月から霜が降りる前までが収穫期。今の時季、主に日曜日に畑で直売しており、収穫も体験できる。阿部さん夫妻は「青パパイアは東南アジアのイメージが強いが、和洋中、何の料理でも合う。生で食べても炒めてもおいしい。特に天ぷらがお勧め」と食べ方を伝えている。

青パパイアが収穫期。妻の美穂さんと農園を営む

阿部さんは会社員時代に、2013年から約1年赴任したメキシコで、見たこともない野菜や料理のおいしさと出合い、多様な食文化に触れたことが農業を志す転機となった。常総市の農園で農業の基礎を学び、17年に就農した。

「珍しい野菜は市場では受け入れてもらうのが難しい」と、1年目から日本酒と青パパイア料理をフルコースで味わうイベントなど知名度アップのためのアイデアを実践してきた。今年は新型コロナウイルスの影響で主催イベントは取りやめる。

農園名はスペイン語でオラが「こんにちは」、ソルが「太陽」、アシエンダは「大農園」を意味する。大農園を夢見て、充実した日々を過ごしている。

■メモ
オラソル アシエンダ▽住所は古河市下辺見982

▽ホームページ
http://holasol2016.xsrv.jp/wp/
フェイスブック
https://www.facebook.com/holasolhacienda/