《食いこ》伝統のたれ、持ち帰りでも うなぎ量深(笠間市) 

茨城新聞
2020年9月8日

土用の丑(うし)の日は過ぎたが、うなぎで厳しい残暑をしのぎたい。路地裏にひっそりとたたずむ笠間市の「うなぎ量深」。店の向こうに笠間稲荷神社の木立が見える。店主の馬場万作さん(48)は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、「おうちでうな重」を打ち出し、持ち帰りに力を入れている。

路地裏に店を構える「うなぎ量深」

馬場さんは板前を志し日本料理店で修業。1990年に「むぎとろ量深」を開いた。修業時代に東京都武蔵野市にあるうなぎ料理店「田川」で働いたのが縁で、7年前、閉店した田川の伝統のたれを継承することになった。うなぎ店の「命」ともいえるたれを託されたことを意気に感じた馬場さんは「一番難しい料理」といううなぎを極めようと腕を磨いた。創作和食料理や麦とろから、名店の味を受け継ぎ、うなぎ料理で勝負することにした。約160年前に創業された老舗からのれん分けで店名とたれを継ぎ、田川を開いた畠山金光さんからお墨付きをもらうまでになった。

ウナギは愛知県三河産を中心に国産を使用。2日ほど佐白山(笠間市)から湧き出る井戸水を流し身を締める。「仕込みから手作業」にこだわり、「うま味や脂を落とさず、身が崩れないように、個体差のあるウナギに合わせて手で串打ちする」

焼き場があるのは店頭。身がふっくらと焼ける備長炭が真っ赤に燃えている。強弱を付けたうちわさばきで炭の火力を調節。見事な職人技で焼き上げる。800度を超えるという炭火で焼く姿は真剣そのもの。ウナギを焼く香りに誘われる参拝客もいるという。伝統のたれは、こくがありながらさっぱりとした上品な味わい。おいしさの極意は「ウナギとたれ、ご飯を三位一体にすること」と語る。

新型コロナウイルスの影響で、当面の間、店舗では平日昼に営業。定休日以外は持ち帰りに対応する。時間がたってからでもおいしく食べてもらえるように、駅弁を研究。店で出すより、コシヒカリは硬めに炊き、ウナギの蒸し時間は長め、たれを少し多めにするなど「ウナギとたれ、ご飯の一体感が出るよう」工夫を凝らしている。

不要不急の外出自粛が続く今、おいしいうな重を食べて、元気になってもらいたい。そんな思いを込める。

■お出かけ情報
うなぎ量深
▼住所は笠間市笠間1253の3
▼店舗の営業時間は平日午前11時半~午後2時、定休日以外は持ち帰りに対応
▼定休は月曜
▼(電)0296(72)9333

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