《旬もの》小麦を加工、地産地消に力 ゆめ紫峰の会(桜川市)

茨城新聞
2020年6月16日

 筑波山や加波山を望む桜川市の麦畑が黄金色に彩られている。市民グループ「ゆめ紫峰の会」の飯島正義さん(83)が栽培するパン用小麦「ユメシホウ」の畑だ。6月上旬、刈り入れが行われた。

 ユメシホウは、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が育成した品種。深谷加津子会長(65)は「国産小麦の中ではパン作りに必要なグルテンの含有量が多い。もっちり感やしっとり感が出る。パンだけでなく麺やケーキにも幅広く使えるのが魅力」、事務局の鈴木真美子さん(68)は「ここは昔から小麦の栽培が盛んで、ユメシホウに適した土地。倒れにくく作りやすいし収量も多い」と話す。

 同会の立ち上げは2010年。地元産のユメシホウを地域に普及しようと販路拡大や商品開発を行い、地産地消に力を入れる。鈴木さんは「安心安全に作られたユメシホウの需要を増やすことで、さらに生産量を増やし、農地を守りたい」と力を込める。

メ ンバーは市内在住の11人。試験栽培から14年携わる飯島さんら3人で、昨年は約10トンを収穫した。同会では強力粉と全粒粉のほか、メンバー各自でパンやケーキ、麺などに加工し、同市や近郊の農産物直売所、真壁のひなまつりなど市内のイベントで販売する。18年から市内の学校給食でも使われるなど、市の特産品として認知されつつある。

「ゆめ紫峰の会」のメンバー

 昨年から、土産品作りにも取り組む。安産祈願に多くの人が訪れる雨引山楽法寺(同市本木)で、同市産ユズの皮を練り込んだカステラと小麦まんじゅうを、箱入りで試験的に販売した。「夢子宝(しほう)」と名付け、ロゴマークは同寺にちなみ安産のお守りとされる張り子の犬と小麦の穂をあしらうなどデザインにこだわった。「定着させたい」と深谷会長。

 同市の製麺・製菓業者、飲食店など12店(社)が同会のユメシホウを使ってパンや麺などを商品化している。深谷会長によれば、新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ちているところもあるという。

 12店は桜川市のアイナ(パン)、小麦畑(同)、かねき(まんじゅう)、大和加工研(カステラなど)、こじまや(うどん)、ほさか(麺類)、麺工房秋田(うどん・そば)、くわの実(ロールケーキ)、鈴木醸造(しょうゆ)、つくばみらい市の青木製麺所(麺類)、筑西市の新井製麺所(同)、結城市のラ・カント(ピザ)。

■メモ
ゆめ紫峰の会
▽桜川市堤上618の1
▽(電)090(4955)0762

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