調教馬ゼッケン、バッグに 美浦トレセンの番号入り 障害者製造、販売促進に力

茨城新聞
2018年9月17日

美浦村美駒の競走馬調教施設「美浦トレーニング・センター」で使われた調教馬のゼッケンをバッグにする取り組みが、障害者施設で進められている。ゼッケンを洗濯、縫製し、デザインを重視したバッグを製造。障害者施設では「競走馬が活躍すると夢も広がる」と期待を込める。ただ知名度不足もあって販売はやや低調。このためバッグメーカーとも組んで販売促進に力を入れている。

ゼッケンバッグ作りは、県心身障害者福祉協会が中心となり、ブランド名「ハーネス」で売り出している。ハーネスは馬具の名称で、同協会が運営する「福祉の店ハーネス」(水戸市千波町)にもちなむ。

ゼッケンは競馬場で出たペットボトルを100%再利用したポリエステル生地。色は馬の年齢で異なる。緑地が2歳、黒地が3歳、黄色地が4歳。数字は所属する厩舎(きゅうしゃ)と馬の個体番号を上下に並べてある。バッグの形状はトート型やリュック型、ショルダー型と幅広い。ほかにカフェエプロンや犬の服など小物もそろえている。ゼッケンの数字を大胆にカットしており、「かっこいい」と購入者の評価は高い。

美浦トレセンでは年間3千~4千頭の調教馬がおり、毎年10月に新しいゼッケンに取り換える。中古ゼッケン約千枚を同村受領の障害者支援施設「虹の里」が引き取り、入所者が交代で洗濯や付属物の取り外しを行っている。

同施設支援課の松崎あかり課長は「ゼッケンの番号を見ただけでどの馬か分かる人もいる。汚れも馬の1年間の成長の証しなので、あえて残すことで愛着が増すと思う」と商品化する面白さを説明。一方で「入所者にはやりがいを感じてもらい、長く続けてほしい」と願う。

縫製は、障害者支援施設「はーとふる・ビレッジ」(石岡市)など県内3カ所の施設が担う。はーとふるの縫製担当者は「数字を斜めにしたり、デザインや使いやすさを改善したりして少しでも手に取ってもらえるよう工夫している」と語る。同施設でも直接販売するが、石岡市のふるさと納税返礼品に採用され、少しずつ販売が増えている。

商品化は、カバンメーカー沼田商事(水戸市)も支援。より技術の高い縫製の製品化や販売に取り組む。

ただ、2015年9月から販売するが、思うように売り上げが伸びていない。ハーネス店では昨年1年間の販売個数がわずか15個にとどまった。同協会は「知名度が低いのが理由」とPR不足を認める。調教施設の栗東トレーニングセンター(滋賀県)では、同様の商品が年間350~400個売り上げるという。同協会はこれを参考に、ネットでの販売や知名度向上に力を入れる。「競走馬の物語性をもっと伝え、茨城オリジナルの商品をアピールしたい」と意気込む。

バッグの価格は、大きさや形状により異なるが約7千~2万円。エプロンやシューズ入れなどは3千円台から。同協会は(電)029(244)7461

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