ワイン、茨城・境の特産に 商品化に5年 販売開始
茨城県境町の新たな特産品として、さかいまちづくり公社(野口富太郎社長)は町内で醸造したワインを開発し、販売を始めた。町や公社は2017年にワインプロジェクトを始動し、5年越しで商品化に至った。特産品第1弾として発売した干し芋は、ふるさと納税の返礼品などとして人気を得ており、ワインもこれに続くヒットを目指す。耕作放棄地を活用したブドウ栽培や新たな雇用創出を期待するほか、町内に6カ所ある建築家・隈研吾氏設計の建物を生かした観光との相乗効果も促進する。
ワインは、白、赤、オレンジ、ロゼの4種類。このほか、熟成状況を見ながら、来年1月以降に、メルロー、シャルドネなど6種類を順次発売し、計10種類の品ぞろえを図る。
先行販売分の4種類5千本を含め、初年度は計8千本を販売する。全種1本750ミリリットル入りで1980円。町内の「道の駅さかい」敷地内にある隈氏が設計した施設「茶蔵」での店頭販売と、町のふるさと納税返礼品として取り扱っている。
原料のブドウは、白ワインとオレンジワインが山形県産で、赤ワインが常陸太田市産。ロゼは、耕作放棄地となっていた八千代町内のナシ棚を再利用し、ワイン用のブドウ「富士の夢」を栽培した。将来的には町と親交のあるアルゼンチンを代表するブドウ「マルベック」を町内で栽培し、ワイン醸造につなげたい考えだ。
目標は高級ワインではなく、普段の食事で楽しめるテーブルワインだ。醸造責任者でシニアソムリエの光山(こうやま)久美子さん(56)=同町出身・在住=は「それぞれの産地の特徴を生かしながら親しみやすいワインを造っていきたい。みんなが笑顔で楽しくワインを飲んでほしい」と話した。
初年度は9トンのブドウを仕入れ、計6千リットルを醸造。公社が運営する、さかいまち食品研究所「S-Lab(エスラボ)」(同町)内にある醸造所で、9月9日に初仕込みを行った。
公社は町特産品の第1弾として干し芋を20年2月に発売。干し芋は年間180トン加工し、ふるさと納税の返礼品として県内外から年間1万件、1億円分の寄付が寄せられているという。ワインはこれに続く特産品第2弾となる。
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