映画でたどる真珠湾攻撃 茨城・笠間の筑波海軍航空隊記念館 開戦の実態、多角的に

茨城新聞
2021年12月6日

旧日本海軍による米ハワイの真珠湾攻撃から、8日で80年になるのに合わせ、真珠湾攻撃を題材にした日米合作映画「トラ・トラ・トラ!」(1970年公開)の企画展が、茨城県笠間市の筑波海軍航空隊(筑波空)記念館で開かれている。戦艦の実物大セットを制作し壮大なスケールで描かれた映画の記録写真パネルや撮影風景を再現したジオラマなどを展示。緊張する世界情勢を交え、日米開戦の実態を多角的にたどっている。来年3月27日まで。

映画は旧日本海軍による真珠湾奇襲攻撃を巡る日米の動きを題材に、太平洋戦争勃発に至る確執を双方の立場から描いた戦争スペクタクル作品。米側監督はリチャード・フライシャー氏が務め、日本側はクランクイン間もなく黒澤明監督解任という事態になり、舛田利雄、深作欣二(水戸市出身)の両氏が監督を引き継いだ。

日本側のロケでは、福岡県芦屋町の海岸に実物大の模型で戦艦「長門」や空母「赤城」の甲板を造り、ゼロ戦に似せた飛行機を実際に飛ばして撮影した。

本展は映画美術スタッフのチーフを務めた近藤司氏の著書「木で軍艦をつくった男」の収録写真や、芦屋町の海岸でのロケ風景を捉えた写真をパネルにして展示。実物大の空母甲板セットで行われた撮影の様子を再現したジオラマ、映画ポスターなども含め作品の世界観を紹介している。

映画とは別に、真珠湾から引き上げられた日本海軍航空機の破片や計器類も展示。攻撃に実際に参加した茨城県および筑波空出身の隊員にも光を当て、家族への手紙なども並べている。

記念館の金沢大介館長(51)は「日米の目線で制作された映画を通じ、真珠湾攻撃の実態や戦争について考えるきっかけにしてもらえれば」と話している。

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