伝説と共に残る湧水池「おだきさん」(高根沢・町指定)
田植えを終えて少し伸びた苗が、青々と広がる高根沢町上高根沢。県道宇都宮向田線から少し入ると、最大幅約10メートルほどの池「おだきさん」が見えてくる。地域に唯一残る湧水池として、この時季、透き通った水をたたえる。
おだきさんは、諸説ある伝説上の人物「おだき」に由来する。働き者で美貌のおだきは、奉公先の庄屋の息子に恋したものの成就せず、湧水池に身を投げたと伝えられている。
上高根沢に5カ所ほどあった湧水池は高度経済成長期終盤の土地改良で消滅。おだきさんが現存する理由について、土地を所有する農業見目修一(けんもくしゅういち)さん(68)は(1)埋め立てた場合には水の行き場がなくなり、周囲が湿田になる可能性があった(2)水量が豊富なため、田んぼへの水供給拠点として重要-を挙げた。
「カッパがいるから近寄るなと、子どもの頃によく言われましたが、夏場は泳いでいましたよ」と見目さん。「最近は、カルガモの親子も見られたりね。昔の風景を守りながら、後世に伝えていきたいと思います」と目を細めた。近年は、地元の園児や児童らが、学習の一環として見学に訪れている。
【メモ】 高根沢町上高根沢1095。2001年8月、町指定。
■ちょっと寄り道 南西へ直線距離で500メートルほどの所に、安住神社、浄蓮寺がある。
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