日本一の産地、難局打開へ 鉾田メロン、ドライブスルーや通販
茨城県を代表する農産物の一つで都道府県別の生産量日本一を誇るメロンの取引価格が、新型コロナウイルス感染拡大を受け2割ほど低下している。出荷が本格的に始まったものの、外食や結婚式、宴会といった業務用の需要が激減した。産出額全国一の主要産地である鉾田市内では、自粛したイベントに代わりドライブスルーや通信販売などの新たな手法を模索し、難局打開に乗り出している。
■業務需要が激減
「糖度もありジューシーで出来栄えは良いが、なかなか値が付かない」
3月下旬、県内JAで最も早く「オトメメロン」を出荷したJA水戸の「ひぬまセンター」(茨城町城之内)で、奥谷雄亮審査役(40)は頭を抱えた。同JAの4月販売単価は例年の2割安。昨年9、10月の台風15、19号被害を乗り越えようとしていた矢先だった。
水戸中央青果市場(水戸市)によると、県内の収量は平年並み。一方で4月の販売単価は前年同月比15~20%低下した。担当者は「これまで消費量が多かった業務関係の注文が少ないのが痛手」と指摘する。
新型コロナの感染拡大による巣ごもり需要で、小売店の買い物客は1人で短時間訪れることが増えた。メロンは嗜好(しこう)品の色合いが濃く、サイズも大きいため一般消費者の手が伸びにくい。野菜が好調なためメロン売り場を縮小する店もある。同社の担当者は、小売店での試食やイベントの波及効果が大きいことを指摘し「今までの売り方ができない」と嘆く。
■開店前から車列
鉾田市内では、例年5~6月に直売所などで開かれていたイベントが全て中止となった。引き替えに、直売所はドライブスルー方式やインターネット通販など、感染リスクの低い販売方法に力を入れ、活路を見いだそうとしている。電話回線増設に乗り出すところも出てきた。
JA茨城旭村の直売所「サングリーン旭」(鉾田市樅山)は、4月下旬からドライブスルー販売を開始。大型連休中は、開始前から車が並ぶ盛況ぶりだった。県外から購入に訪れる人も多く、千葉県成田市、会社員、渋谷真美子さん(40)は「この方式なら地元に迷惑を掛けずに買えるのでありがたい」と話した。
本県産メロンは「オトメ」「アンデス」「クインシー」を主力に、約20品種が生産、出荷される。前年比で半値まで落ち込んだ静岡県の高級メロン「アールス」に比べれば、普及品が主力の本県産は価格落ち込みが抑えられている。
市は、通販が可能な市内の販売店を紹介するホームページ「スマイル・メロン・プロジェクト」を開設。ポスターやチラシでも周知を図る。市農業振興課は「各店と協力し、どうやってメロンを売り込むか考えていきたい」としている。
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