弘道館、偕楽園、斉昭… 水戸の歴史、アニメで 市制作 授業、観光施設で放映へ

茨城新聞
2018年10月23日

日本遺産に認定されている「弘道館」や「偕楽園」創設の歴史などについて理解を促そうと、水戸市は子どもたちが楽しみながら学べるアニメーションを制作した。徳川斉昭ら登場人物を柔らかくデザインし、時代考証を踏まえ教育現場でも使える作品に仕上げた。インターネットのほか、小中学校の授業や観光施設でも放映し、地域の魅力を発信するツールとして活用をしていく。

作品タイトルは「徳川斉昭と弘道館物語」。市立三の丸小5年生の少年と少女が、弘道館と偕楽園が開設されて間もない176年前の1842年12月にタイムスリップし、斉昭や後の慶喜となる七郎麿と出会う設定。弘道館や偕楽園を舞台に、厳格さと寛容さを適度に保つ「一張一弛(いっちょういっし)」の思想や、国を一つにまとめる「尊王攘夷」の考え方などについて学んでいく。

明治維新150年の節目を記念し、地域の歴史を子どもたちに学んでもらおうと制作した。市歴史文化財課によると、自治体による歴史アニメ制作は全国的にも珍しく、県内では初めてという。

アニメは13分。130枚制作した非売品のDVDには、アニメ本編に加え、水戸城跡で市が進める白壁整備や大手門、角櫓(すみやぐら)復元など、歴史的景観形成に関する6分間の実写映像も盛り込んだ。制作費は約2千万円で、国の補助金を活用している。

DVDは全ての市立小中学校と市立図書館、市民センターに配置する。また、同市三の丸の「水戸城址二の丸展示館」やJR水戸駅の観光案内所で映像を放映するほか、24日から動画投稿サイト「ユーチューブ」でも配信する。

昨年12月に総指揮やデザイン、撮影などを担う地元などの企業6社で制作チームを発足し、9月に完成した。登場するキャラクターの声も地元出身の声優を中心に起用。斉昭役を同市出身で「キャプテン翼」「機動戦士Zガンダム」などにも出演した飛田展夫(のぶお)さん、七郎麿役をひたちなか市出身で「プリキュアアラモード」などで活躍した村中知(むらなかとも)さんらが演じている。

作品の出来栄えについて高橋靖市長は「登場人物の会話を通し、歴史を学べる最高の作品」と太鼓判を押す。同課は「弘道館や偕楽園がなぜ造られたのか、時代考証を踏まえてアニメで分かりやすく解説している。視聴をきっかけに、歴史に興味を持ってほしい」としている。

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