舞台の神栖市に「桜花」模型寄贈 11月にも公開

茨城新聞
2015年9月5日

太平洋戦争末期の特攻機「桜花(おうか)」を題材とする映画「サクラ花(ばな)」の製作委員会は、物語の舞台で、戦時中に桜花の特攻訓練が行われた神之池海軍航空基地があった神栖市に対し、撮影で使った桜花の模型を寄贈した。市は同市木崎の神栖中央公園での模型展示を決め、展示施設整備に着手。11月にも公開する予定だ。

桜花の模型は長さ約6メートル、幅約5メートルの実物大で、映画の中で主演の緒形直人さんが乗る親機から切り離されるシーンなどで登場する。同公園も現代の場面で映し出される。

展示されるのは同公園正面入口近くの芝生広場。昨年6月に防災公園として開園した同公園の中で最も来園者が集まる場所だ。市は今月、ガラス張りとなる展示施設を着工し、11月2日完成予定で工事を進めている。整備費は約1000万円。

寄贈について、同委員会の松村克弥監督は「地元でも桜花の歴史を知らない人が多いことを知った。地元に悲劇の舞台となった歴史があったことを映画と桜花の展示で伝えたい。歴史を風化させず、平和と戦争について考えるきっかけにしてもらいたい」と語る。

保立一男市長は「公園は映画の中で現代の平和の象徴として登場する。多くの人たちに訪れていただき、命の尊さや平和の大切さを再確認していただきたい」と来園を呼び掛ける。

桜花の模型は、鹿嶋市光の新日鉄住金鹿島製鉄所正門近くに1993年に開設された「桜花公園」の掩体壕(えんたいごう)にも展示されている。松村監督は「(神之池海軍航空基地があった)鹿嶋と神栖で一つずつ桜花の模型を置くことで、地元の方により歴史を思い起こしていただきたい」と話す。

映画は、太平洋戦争末期に特攻訓練が行われた同基地などを舞台に、若き搭乗員らの思いを描く。撮影は6月に神栖市や阿見町、鹿嶋市などで行われた。10月から全国約300カ所で上映予定。

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