水戸の道場 古武道「無の境地」魅力

茨城新聞
2015年9月9日

居合や抜刀術など、古武道を愛好する若者や外国人が増えているという。刀剣を擬人化したゲームの人気も手伝って、古武道に関心を寄せる女性も少なくない。日本文化の神髄ともいえる古武道。真剣を使った稽古を通し、「自分の心と向き合い、無の境地に浸れる」のが魅力の一つという声もある。

水戸市吉沼町の大洗鹿島線東水戸駅前に、さまざまな古武道を鍛錬する道場・雲城神武館がある。

同道場最高顧問の飛田電雲斎さん(79)は古武道に取り組んで60年。居合や抜刀術の「水府新刀流」、江戸時代後期に千葉周作が創始した「北辰一刀流」などを教える。

門人は約50人。警察官や弁護士、医者ら医療関係者など職業はさまざまだ。外国人名の名札も下がる。高校生・大学生も4人いる。

インターネットに道場のホームページを立ち上げた5年前から、若い人や外国人の門人が増えてきた。

若手門人の一人が水戸市千波町の高校3年生、松田耀司さん(18)。刀剣好きが高じて道場に通い始めて1年半になる。はかま姿に着替え、神前と先生に対して深々と礼をしてから、型の稽古を始めた。真剣を手に持ち、巻きわらに向かった。

「重心を後ろに残したまま前進して」「切るときは体の動きを止めて。剣道とは違って、刀は振り切らない駄目だ」。道場の先輩から、指導の声が飛ぶ。

この日は、日立市在住の医師、小國英智さん(26)も稽古に参加。学生時代に弓道をやり、2年前から居合を始めた小國さんは「居合術は集中力が付く。気分がすっきりし、無の境地になれるのが魅力だろう」と分析する。

道場では、刀剣を擬人化したゲームの流行を背景に、道場を見学に訪れる女性もいるという。

稽古の後に、弘道館記や種梅記を読み合うこともある。最高顧問の飛田さんは「サムライの文化をいろいろと体験できる道場でありたい」と話した。

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