《いばらき御朱印めぐり》道真公の和歌や漢詩 八千代町・東蕗田天満社 1288年創建

茨城新聞
2021年9月20日

平安時代前期に学者や政治家として活躍し、“学問の神様”として広く知られる菅原道真公。歌人としても名をはせ、多くの和歌を残している。

茨城県八千代町の東蕗田天満社=蕗田栄子宮司(58)=は、そんな文化人でもあった道真公を祭る。蕗田家の祖先が「菅原道真公をお祭りするように」というお告げの夢を見たことがきっかけだったという。京都北野天満宮からみ霊を分祀(ぶんし)し、1288年に創建した。

本殿の前で学問の神と知られる菅原道真公の話をする東蕗田天満社の蕗田真弓禰宜=八千代町東蕗田

 

授与される御朱印は見開きがメイン。20種類以上あり、参拝者が気に入ったものを選べる。右側には印と神社名が入り、左側には道真公が詠んだ和歌や漢詩がしたためられる。禰宜(ねぎ)の蕗田真弓さん(60)は「優れた歌が多いので、もっと皆に知ってもらいたかった」と、歌入りの御朱印を始めた理由を話す。

絵柄もさまざまあり、どれも色鮮やか。梅や桜、ヒマワリなどの花をあしらったものや、織り姫と彦星が手を取り合う姿、月でウサギが餅つきする姿など、季節感あるデザインが描かれたものもある。

正月と、桜が満開になる3月下旬ごろからは、限定御朱印を頒布する。季節限定の御朱印もあり、今月からは秋らしいモミジやキクをデザインしたものが登場した。

歌は有名なものや時勢に合ったものなどを基準に栄子さんと真弓さんの2人で選ぶ。例えば、道真公が法皇の旅にお供した際、滝が水を引くように流れているのを見て詠んだ「水ひきの 白糸はへておる機(はた)は 旅の衣にたちやかさねむ」。コロナ禍で旅行できない日々が続くことから「気軽に旅に行けるようになる日を思い浮かべて選んだ」(栄子さん)。

ほかにも、無実の罪で左遷された道真公が、自身の潔白がいずれ証明されることを信じて詠んだ「海ならず たたへる水の底までに きよき心は月ぞてらさむ」など、味わい深い歌が多い。2人は「御朱印を見て豊かな気持ちになってもらいたい」と語る。

オリジナルの御朱印帳は計3種類。同社の裏参道にある桜並木を歩く道真公の姿とともに、桜の和歌をデザインしたものが色違いで2種と、羽の生えた龍がデザインされたシックなものがある。

御朱印帳にもデザインされている桜並木は、満開になると毎年多くの人が花見に訪れるという名所。真弓さんは「お参りに来たついでに楽しんでもらえたら」と笑顔で話した。(第1土曜日掲載)

メモ
アクセス…圏央道坂東ICを降りて左折し、県道20号を北に進む。東蕗田運動公園や東蕗田集落センターに隣接する。
住所…八千代町東蕗田242
電話…0296(49)1666
御朱印…見開き800円。オリジナル御朱印帳は限定御朱印付きで2000円。御朱印受け付けは午前9時~午後4時、月曜休み(祝日の場合は翌日休み)

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