筑波大学、日本画40年の軌跡 茨城県天心記念五浦美術館 歴代8教員の22点 7月18日まで

茨城新聞
2021年6月23日

茨城県北茨城市大津町の県天心記念五浦美術館で12日から、「筑波大学 日本画40年の軌跡」が開かれている。県内唯一の日本画の専門教育機関として、多くの画家や教師を輩出してきた同大学の歩みとともに、歴代教員8人の作品22点を紹介。伝統的な日本画の奥深さや、変遷を続けてきた筑波研究学園都市ならではの空気感を堪能できる。会期は7月18日まで。

同大学は1973(昭和48)年に開学。2年後の75年、芸術専門学群が設置された。その後、日本画のカリキュラム導入が検討された際、教授として最初に招かれたのが創画会で活躍していた西村昭二郎だった。

西村は品格を求め、鮮やかな色使いに新しい表現を模索しつつ、一貫して花鳥画を描き続けた。同展には、第25回新制作展に出品し、同会会員に推挙されることになった屏風(びょうぶ)連作「まひる野・草わたる」と、キンケイを繊細な筆遣いで描いた「風ひかる」の2点を出品した。

85年、つくば万博開催の年に講師となったのが藤田志朗だ。87年、同学群で日本画コースが独立。藤田は退職まで30年以上にわたって教員を務め、まちの変遷を肌で感じながら多くの学生を育てた。

藤田が描くのは心象風景や幻影とされ、今展の「夜航海」も月の浮かぶ夜景など、藤田作品の要素が恐縮されている。ほかに、蓮華の幻想的な美しさが際立つ「月へ」などが展示されている。

藤田志朗「夜航海」(2006年 作家蔵)

 

今展には西村、藤田を含め、村松秀太郎「蝦蟇(がま)、骸骨、おんな」、斉藤博康「緑霧(りょくむ)」、平岩洋彦「黄昏(たそがれの)碑(ひ)」、太田圭「風の墓標I」、程塚敏明「Yellow Sky」、山本浩之「白日」の計8人による22点を展示。それぞれ教壇に立ちながら、創作してきた個性あふれる作品が並ぶ。

同館首席学芸員の井野功一さんは「全国から多方面で優れた人材が集まり、刺激し合うことで生まれた現代らしい日本画。会場でぜひ楽しんでほしい」と話している。(作家名の敬称略)

午前9時半~午後5時(最終日は4時半)まで。月曜休館。

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