「キハ222」がご神体 「鉄道神社」誕生祝う ひたちなか レール製鳥居も

茨城新聞
2021年6月23日

ひたちなか海浜鉄道湊線(勝田-阿字ケ浦駅)を44年間走った車両をご神体としたユニークな「鉄道神社」が、茨城県ひたちなか市阿字ケ浦町の阿字ケ浦駅に建立され、関係者や地元住民らが完成を祝った。新たな観光スポットとして、地元の活性化への貢献も期待される。

建立されたのは「ひたちなか開運鐵道神社」。ご神体の気動車「キハ222」は1962年製造で、北海道の羽幌炭鉱鉄道で使われた後、71年から湊線を走行。2015年の引退後は同駅で保管されていた。

神社の建立は、湊線を生かしたまちづくりに取り組む市民団体「三鉄ものがたり実行委員会」が企画。昨年末にクラウドファンディングを実施して目標額を上回る約460万円を集め、長期の保管でさび付いた車両の修繕と再塗装をした。

車両が無事故だったことから交通安全や長寿、さらに勝田(勝った)や金上(金運を上げる)など縁起のいい駅名や同線の延伸計画進展にあやかって勝負運や出世運などの御利益もアピールする。

また、車両の前には、同鉄道が所有していた1925年製のレールで作った鳥居も設置した。

19日に車両内で神事が行われ、同実行委の佐藤久彰代表(52)や海浜鉄道の吉田千秋社長ら関係者約20人が玉串を奉納して安全を祈願。地元住民や鉄道ファンらが窓越しに見守った。

佐藤代表は「構想から5年がかりで完成し、感無量。今日を出発点として、地元が元気になる企画を展開したい」と意気込み。今後、那珂湊駅にも鳥居を作って神社までの路線を「参道」にする構想や、近隣の神社などと連携した企画も検討している。

千葉県松戸市、会社員、松浦大樹さん(31)は「鉄道を神社にする発想が面白い。今後行われるイベントにも参加したい」と胸を弾ませた。

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