古田土雅堂の画業に光 茂木出身、米で活躍 作品一堂に、旧宅も注目 古里で初12日から

下野新聞
2021年6月10日

 【茂木】町出身で、明治から大正にかけて米国で活躍した洋画家古田土雅堂(こだとがどう)(1880~1954年)の絵を初めて一堂に集めた作品展が、12日からふみの森もてぎで開かれる。宇都宮市にあった雅堂の旧宅は町に移築され、町文化財になっていることで知られる。作品展は、旧宅の移築20年とふみの森もてぎ開館5年を記念して町教委が主催。関連講座も2回開き、雅堂の業績に光を当てる。

 雅堂(本名・貞治(ていじ))は中川村河井(現在の河井地区)に生まれ、東京美術学校日本画科卒業後に渡米。陶磁器販売を米国で展開したモリムラブラザーズ(現在のノリタケカンパニーリミテド)に入社し、現地で高い評価を得たディナーウエアの大半のデザインも手掛けた。宇都宮市にあった美しい輸入住宅(1924年建築)は2001年、道の駅もてぎに移築された。

 作品展「アメリカに渡った邦人画家 古田土雅堂作品展」では、「茸(きのこ)狩り」「救急搬送」など、旧宅とともに町に寄贈された油絵8点と雅堂ゆかりの個人所有作品を加えた約15点を前期(12日~8月15日)と後期(8月28日~10月17日)に分けて歴史資料展示室で展示する。雅堂の筆など遺品も見られる。

 講座Ⅰは7月10日に「古田土雅堂とニューヨークの美術界」、講座Ⅱは10月9日に「明治・大正期のアメリカと日本における生活の近代化への潮流」「大正期に輸入されたアメリカの暮らし」をテーマに開催。研究者3人が雅堂ら邦人画家の活躍、100年前の米国の暮らしを日本に持ち込んだ雅堂邸の価値や時代背景などを解説する。

 町教委は「雅堂の業績は知られていないが、美術、建築の両面で研究者の注目度は高い。これを機に知ってほしい」としている。

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