《食いこ》古い蔵、天然仕込みのみそ 秋葉糀味噌醸造(結城市) じっくり熟成

茨城新聞
2021年2月9日

結城市の古い蔵が目を引く街並みの一角にある、1832(天保3)年創業の秋葉糀(こうじ)味噌(みそ)醸造(秋葉節夫社長)。1924(大正13)年に建てられた見世蔵の店舗はレトロな雰囲気が漂う。同社専務の秋葉章太郎さん(47)によれば、店舗正面は昭和初期に道路拡張で切り取られ、建設当時とは趣が異なる不思議な姿になったという。

売り場の奥にある大きな鍋や釜は、大豆を煮たり、こうじを造るためのうるち米を蒸したりする。さらに奥に進むと、醸造蔵に年季の入った木おけが並ぶ。容量8トンという木おけは大迫力。その高さは成人男性の身長をはるかに超える。

天然醸造のみそは大豆とこうじ、塩で仕込む。こうじは自家製。国産大豆や天日干しした海水塩を使ったみそもある。「天然醸造は人工的に熟成を早めず、自然の気温と湿度でじっくり時間をかけて造る。蔵に長年すみ着いた菌などが、その蔵特有の味わいを生み出してくれる」という奥深さ。

「つむぎみそ」ブランドとして3年熟成の「粋(すい)」や冬季限定の「甘みそ」など数種類を製造販売する。仕込んですぐは白いが、だんだん色が濃くなる。甘みそは白っぽく、粋は黒っぽい。甘みその塩分濃度は6・9%と低く、熟成も1カ月と短い。

天然醸造の「つむぎみそ」

「甘みそは水分が多くぽてっとしている。みそ汁のだしは濃いめに取るとおいしい。長期熟成の粋は、1年熟成と同じ塩分でも角が取れ、味や香りに深みが出る」と章太郎さん。

おかずみその「繁盛なす」は大きめに切ったナスと麦こうじと唐辛子の甘辛い味がご飯に合う。米こうじで造る甘酒は「無添加、無加糖の自然な甘さが味わえる」と話す。

11月から3月までの冬期は例年、出張みそ造り体験教室を県内や栃木県、埼玉県など約200カ所で開催してきた。参加者は実際に仕込んだみそだるを家で熟成させてその家ならではの「手前みそ」に仕上げていた。今シーズンはコロナの影響で、みそ造り体験を実施できないが、「みそを届けてほしい」という要望が多く、仕込んだみそだるを販売する。

■お出かけ情報
秋葉糀味噌醸造
▼住所は結城市結城174
▼営業時間は午前8時半~午後6時半
▼定休は日曜
▼(電)0296(32)3923

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