3年ぶり、待ちに待った開催 茨城・土浦全国花火競技大会 11月5日

茨城新聞
2022年9月6日

11月5日に予定されていた茨城県土浦市の一大イベント「第91回土浦全国花火競技大会」について、市の実行委員会は5日、開催を正式発表した。新型コロナウイルスの感染拡大で2年連続中止となっていたが、政府のイベント実施や行動制限の緩和方針に伴い、開催に踏み切る。花火師や商工関係者からは「待ちに待った開催」と期待の声が上がった。

市によると、実行委正副会長会議が8月31日に開かれ、今月5日までに開催を正式決定した。昨年のようなコロナ緊急事態宣言などの行動制限がなく、政府がイベント制限を緩和しており、「開催は可能」との結論でまとまった。秋田・大曲をはじめ、主要な花火大会が再開していることも後押しした。

市花火対策室によると、感染対策のため、桟敷席の入場者数を従来の3分の2に当たる約2万7千人に削減。桟敷席の隣の無料席をなくし、有料のいす席を約8千席用意する。マスクの常時着用や時差式での入退場制限にも取り組む。2018、19年に不発花火が破裂して落下し、見物客がけがをした事故が起きたことから、立ち入り禁止区域を徹底し、保安距離を規定の110メートルより広い200メートルに設定する。

有料席はインターネット販売とし、今月中旬から応募を受け付ける。

安藤真理子市長は「伝統文化の技術を継承するため何とか開きたかった。土浦の歴史に花火はなくてはならない。コロナからの復興に向け、再び歩み始める時と考えた。安心して花火を楽しめる大会にするため全力を注ぐ」と話した。

■関係者安堵 「長かった」
「長かった」。土浦全国花火競技大会に参加している山崎煙火製造所(つくば市)の山崎芳男会長(72)は、開催決定に安堵(あんど)の言葉を口にした。

過去2年はコロナ禍で大会が中止となり、花火打ち上げの機会が減った。やむを得ず、職人を休ませる状態が続いた。昨年は中止決定後、市や団体による花火業界や医療従事者を応援する花火があり、今年になると全国で大会開催が増えた。6月ごろから忙しい日々という。「苦しいときも支えてくれた人には感謝したい。開いてくれるのはありがたい」

先月末の秋田・大曲の花火競技大会にも参加し、部門準優勝を果たした。山崎さんは「コロナ禍で苦しい思いをした人も多い。大会を待ちに待ったという声も聞く。花火を見て心を癒やし、やって良かったと思ってもらえるよう心して本番に臨む」と意気込む。

大会は多くの露店や飲食業者が関わる。商工業者も開催に期待感を示した。

大会向けに花火弁当を提供している飲食店団体「土浦名物弁当事業者部会」の嶋田玲子部会長は、「まずはうれしい」と率直な思いを語った。「感染者数が高止まりし不安はあるが、受け入れてやっていく時期になったのだと思う。一致団結して、初心に返って頑張りたい」と話した。土浦商工会議所の中川喜久治会頭は「この開催を契機に土浦の元気を取り戻していきたい。成功に向けて準備を進めていければ」と商工業者の願いを代弁した。