2年連続中止の茨城・土浦花火大会 開催可否、月末に判断

茨城新聞
2022年8月28日

11月に茨城県土浦市で予定されている日本三大花火大会の一つ、土浦全国花火競技大会について、市の実行委員会は今月末に開催の可否を最終決断する。新型コロナウイルスの感染拡大で一昨年、昨年と中止が続き、開かれれば3年ぶり。政府の行動制限緩和により、秋田・大曲の花火など同規模の大会が開催に踏み切っており、現状は「過去2年より環境は整っている」(市関係者)。花火業界や商工業界の期待が高まる中、高止まりする感染者の対策を万全にできるか検討する。

■イベント制限緩和

実行委は5月、大会を11月5日に開くと方針を決めて準備を進めてきた。新型コロナの感染状況を踏まえて開催の可否を決定する時期を8月末と定めた。有料席の入場券販売や桟敷席の設営、電車の臨時便設定にかかる日数を2カ月程度と見積もっているためだ。

過去2年間、コロナ禍に伴い政府の緊急事態宣言やまん延防止重点措置が出される状況下で、大会は中止に追い込まれてきた。

今回は緊急事態宣言などがなく、政府はイベント開催制限を緩和。既にプロ野球やサッカーJリーグをはじめとしたスポーツや、音楽祭は通常開催している。花火大会は開催と中止で判断が分かれているが、横浜や新潟・長岡といった主要大会は開かれた。

市花火対策室は「ウィズコロナが定着しつつあり、昨年より環境は良くなっているのでは」と受け止める。

■有料席数を抑制

全国で土浦と大曲の花火競技大会だけに出されている「内閣総理大臣杯」。市は国の要請に従い、感染対策の対応手引きを初めて作り提出する。実行委は、桜川河川敷の有料観覧席の人数を抑え、上限計2万数千人とした。2019年大会の3分の1に減らす。いす席も設け、入場者数を管理できるようにする。

課題は終了後の混雑緩和だ。退場を分散し、JR土浦駅周辺での入場規制に力を入れる。同室は「コロナと雑踏対策の両面で、警備や誘導をしないといけない」と強調する。

■事故対策も強化

大会は18、19年、打ち上げ花火の一部が破裂し、見物客がけがをする事故が起きた。同室によると、事故防止策として打ち上げ場所をずらし、保安距離を県規定より大幅に広く取る考えだ。不発花火が飛び込んだ河川敷近くの沿道は、立ち入り禁止を検討する。

市は27日に行われる大曲の花火に担当職員を派遣し、会場運営を視察する。実行委は今月末の役員会で、開催するかどうかを決める。実行委員長の安藤真理子市長は「苦境にある花火業者を応援するため、今年こそは開催したいという思いは強い」と訴えている。