五十嵐豊の芸術たどる 地元那須の風景 民芸・工芸品に 町内で没後40年巡回展

下野新聞
2022年8月3日

【那須】湯本で活動し、民芸品や美術工芸品の制作に打ち込んだ五十嵐豊(いがらしゆたか)(1928~82年)の没後40年を記念した作品展「五十嵐豊の世界 没後40年巡回展~那須の自然と子どもを描いて」が25日まで、寺子乙の町図書館で開かれている。同館での展示終了後は、町内4施設で来年3月26日まで巡回展示する。

五十嵐は八幡温泉の旅館の次男として生まれた。東京美術学校(現東京芸術大)を卒業後、那須で「やはた工房」を設立。和紙や布を使った民芸品、陶壁画などの工芸品の制作に励んだ。地元商店の包装紙のデザインも担当した。

作品の多くは那須の動植物や子どもが題材で、益子焼や日光彫、烏山手すき和紙といった県内の伝統工芸品も手がけた。

作品展では、五十嵐の親族が所有する多彩な作品を公開。町花のリンドウと那須岳を描いた貼り絵や、山ブドウと子どもをデザインした木彫りの作品など16点を、計5カ所の施設で巡回展示する。各施設が設定するテーマによっては展示作品が追加されるという。

主催する那須歴史探訪館の作間亮哉(さくまかつや)学芸員(29)は「郷土愛の強かった五十嵐の作品を通して、彼が愛した那須の風景や栃木の良さを見てほしい」と呼びかけている。

町図書館のほかの展示施設・期間は、那須高原ビジターセンター(9月2日~10月26日)、高原公民館(11月2~27日)、なす高原自然の家(12月2日~来年1月30日)、那須歴史探訪館(2月3日~3月26日)。

観覧無料。那須歴史探訪館は入館料(高校生以上200円)が必要。

(問)同館0287・74・7007。