「紙の宝石」 蔵書票作品でひもとく物語 鹿沼・川上澄生美術館 きょうから企画展
【鹿沼】書籍所有者を示すために本の見返し部分に貼る「蔵書票(ぞうしょひょう)」を集めた企画展「書物を彩る蔵書票」展が9日から、睦町の市川上澄生(かわかみすみお)美術館で開かれる。持ち主や制作者の趣向に富んだ蔵書票は、その芸術性の高さから「紙の宝石」とも称される。9月4日までの会期を前・後期に分け計300点を展示する。
15世紀中ごろに欧州で発祥した蔵書票は、日本では明治時代の1900年に文芸雑誌「明星」で初めて紹介されたとされる。その後、画家や版画家が依頼主の特徴に自らの作風を掛け合わせ、名刺やコースターほどの大きさの版画の蔵書票を多数制作した。
企画展では、日本書票協会(東京都)の所蔵品150点を含む約300点を、9日~6月26日の前期、同29日~9月4日の後期に分けて展示。南蛮船や洋灯をモチーフにした作品を得意とする川上澄生、赤を基調にした作品が多い川西英(かわにしひで)ら同時代に活躍した作家11人の個性的な作品が見られる。
初日の9日は午後2時から、青木理(あおきただす)館長と巡る作品鑑賞会を開催。期間中は随時、学芸員のギャラリートークや蔵書票を版画で刷る体験などのイベントを行う。
同館の原田敏行(はらだとしゆき)学芸員は「1点1点に込められた作者と依頼者との物語を思い浮かべながら見ると、より楽しめると思う」と来場を呼び掛けている。
入館料は一般300円、高校・大学生200円、小・中学生100円。開館は午前9時~午後5時(最終入館4時半)。詳細な内容や休館日は同美術館ホームページなどで確認できる。
(問)同美術館0289・62・8272。