「かわいい」に注目 茨城県内3展覧会 視点変えて、より魅力的に

茨城新聞
2022年3月22日

素材そのものの魅力や、単純化やデフォルメ、心和ませる色使い。一般に「かわいい」と呼ばれるものは、美術品の中にもあふれている。海外で「kawaii」という言葉がそのままの意味で使われ身の回りに浸透する中、茨城県内各地で「かわいい」に注目した展覧会が開かれている。見慣れた美術作品も、見方を変えればより愛らしく、より魅力的に映る。

◇猫の魅力を堪能◇
展示作品全てが猫一色-。笠間市笠間の笠間日動美術館で開かれている「藤沢市所蔵 招き猫亭コレクション 猫まみれⅡ」は、しなやかさや野生、神秘など猫の持つ魅力をアートを通して紹介する。猫に魅せられた夫婦が40年にわたって収集した美術作品約100点を展示した。

同館によると、「猫まみれ展」は2度目。2011年の東日本大震災後に開催し、好評だったため、今展ではさらに内容を充実させたという。

歌川国芳の浮世絵から、レオナール・フジタ、横尾忠則、金子國義の作品など、人に寄り添う身近な猫から擬人化された猫、画家によって芸術品に生まれ変わった猫など。癒やしのペットとしてだけではない猫の魅力たっぷりの内容だ。

◇素朴で心癒やす◇
大正ロマン、昭和レトロと表現されるように、懐かしい中にも「かわいい」ものがたくさんある。日立市宮田町の同市郷土博物館で開催中の「ひたちのカワイイもの展」は、視点を変えることで素材の魅力を引き出す展示だ。

同館の六渡優里さんによると展示は同館の所蔵品約50点。「kawaiiが世界で注目される中で、博物館になじみのない方たちにも足を運んでもらえるのでは」と初めて企画した。ウサギの形をした土人形や優美な貝合わせ、土偶の頭部など、美術、歴史、自然の分野を横断した展示は、ほっこりとした魅力にあふれている。

◇愛らしい花鳥画◇
北茨城市大津町の県天心記念五浦美術館で開催中の企画展「おいでよ!花鳥画の世界」は、明治から現在まで、日本画壇を代表する作家らによる花鳥画を「なんか、かわいい」というキャッチフレーズのもとに構成した。

展示は、再興院展の中心画家として活躍した木村武山の屏風作品「群鶴(其一)」や五島耕畝「孔雀の図」をはじめ、現代から那波多目功一、西田俊英、フジイフランソワなどを加えた27点。写実、装飾、幻想。多様な表現による花鳥画が並び、各作家が思い描く「美の世界」が堪能できる。

美しい日本画の中にある動物たちの愛らしいしぐさや、カラフルな色合いに注目することで、「自分だけの、なんかかわいいを探して楽しんでほしい」(同館)としている。

各展覧会の案内は以下の通り。
▽「藤沢市所蔵 招き猫亭コレクション 猫まみれⅡ」
5月15日まで、笠間日動美術館企画展示館。午前9時半~午後5時。月曜休館(3月21日、5月2日は開館、3月22日は休館)。一般1000円、65歳以上800円、高大生700円、小中生無料。

▽「ひたちのカワイイもの展」
5月15日まで、日立市郷土博物館。午前9時半~午後4時30分。休館日は3月28日、4月25日。観覧無料。

▽「おいでよ!花鳥画の世界」
4月17日まで、県天心記念五浦美術館。午前9時半~午後5時。月曜休館(3月21日は開館、翌22日は休館)。一般420円、満70歳以上210円、高大生210円、小中生160円。