大観 幻の「山路」公開 茨城・筑西の廣澤美術館
■心象風景24点
茨城県を代表する日本画家、横山大観(1868~1958年)=水戸市出身=の風景画に光を当てた特別展「横山大観~大観の描く風景」が17日、筑西市大塚の廣澤美術館で開幕する。長らく所在不明だった名品「山路」(1911年)を中心に、大観の風景画24点が展示される。会期は4月12日まで。
展示作品は、広沢グループ会長で同館創設者の広沢清氏(83)のコレクションの一部。安田靫彦による大観の肖像画や大観と菱田春草の合作「扇面怒濤(どとう)の図」を会場冒頭で紹介、30代半ばの「旭日静波」(02~03年)から、87歳時の「風蕭々兮易水寒(かぜしょうしょうとしてえきすいさむし)」(55年)まで、大観の50年以上の画業をたどることができる。
目玉の展示品となる「山路」は、馬を引いて山道を歩く男の姿が、没線画法の「朦朧(もうろう)体」を駆使した樹林越しに描かれている。77年にパリの展覧会に出展された後、2019年に県近代美術館(水戸市)で再び日の目を見るまで「幻の作品」とされていた。今回は19年以来の公開になる。「山路」を画題とした大観の作品は、同館所蔵品のほか、永青文庫と京都国立美術館の所蔵する計3点しか確認されていない。
別館「つくは野館」には、木版画家の斎藤清の作品20点をはじめ、御手洗竹松氏=つくば市=による筑波山が描かれた風景画など、大観以外の画家による作品36点が展示されている。
同館学芸員の磯詩子さん(42)は「大観の心象の風景をお楽しみいただければ。色のない水墨の作品は地味と思われがち。墨の濃淡で遠近を描いているところを、足を止めてじっくり見てほしい」と話した。
問い合わせは同館(電)0296(45)5601。