優雅、表現の喜び244点 水戸市芸術祭美術展第2期 7月4日まで

茨城新聞
2021年6月24日

第52回水戸市芸術祭の美術展覧会第2期が23日、同市五軒町の水戸芸術館現代美術ギャラリーで開幕した。書と写真、デザイン、インスタレーションの4部門で計244点展示されている。市文化振興協議会や茨城新聞社など主催。会期は7月4日まで。入場は午前9時半~午後5時半まで。月曜休館。

審査員による第2期の作品の講評と入賞作品は次の通り。(敬称略)


【講評】市長賞「山家集(西行)恋のうた」は平安貴族の優雅さをうかがわせるかのような上品な作品。市議会議長賞「何景明詩」は若さあふれる筆致で爽快な作品だった。市教育長賞の「近業三種」は三顆の作風に変化を加えて、その実力を見せた。市文化振興協議会奨励賞「伊藤左千夫の歌」は大胆な仮名で令和の仮名を表現している。

市長賞「山家集(西行)恋のうた」満川麗子▽市議会議長賞「何景明詩」大内祥泉▽市教育長賞「近業三種」江幡鋳卿▽市文化振興協議会奨励賞「伊藤左千夫の歌」猿田美恵▽茨城新聞社長賞「江村晩眺」石塚悠泉▽水戸美術家連盟奨励賞「唐詩」横田美佳、「蔵脩游息」大内武司、「高青邸詩」三村爽風、「万葉集」鴨川典子、「沈☆(王へんに景)詩」野原白雲、「李益詩」内山志峰▽現代美術センター賞「水☆(木ヘンに射)臨風」松浦螢郊

写真
【講評】デジカメ時代は誰もが同じ画質の作品を制作できる。その中で皆と少し違う、自分らしい作品を作るには何が必要か。表現する喜びを得て、潤いのある人生を目指してほしい。上位入賞作品は自己主張が明確で審査員の心に伝わる作品を選んだ。

市長賞「悲しき音色」関親穂▽市議会議長賞「母の背中」加藤芳子▽市教育長賞「この道一直線」岩間幸子▽市文化振興協議会奨励賞「怖の予兆」西宮理人▽茨城新聞社長賞「小さい春」広☆(瀬のオオガイが刀の下に貝)明良▽水戸美術家連盟奨励賞「真実」相馬法仁、「渚の情景」小沢☆(頤の頁が巳)邦、「無心」大塚隆、「時の忘れもの」高瀬淳子、「ほら~そこよ」堀越正吾、「青の静寂」竹内治▽現代美術センター賞「晩秋」荒木清

デザイン
【講評】コロナ禍で集中して制作に取り組める環境ではないにもかかわらず、質の良い作品が出品された市議会議長賞「Sign-気配-」はアクリル絵の具による鮮やかな作品で、背景のマチエールづくりが効果的。市教育長賞「△わんわん△キャンプ△」は、擬人化された動物たちがアウトドアを満喫している。このコロナ禍における生活の楽しみ方を提案してくれている。

▽市議会議長賞「Sign-気配-」前田千彰▽市教育長賞「△わんわん△キャンプ△」玉垣裕子▽市文化振興協議会奨励賞「無題」飯島めぐみ▽茨城新聞社長賞「しあわせの粒」倉田彩▽現代美術センター賞「たのしい いちにち」鈴木理恵

インスタレーション
【講評】例年に比べ作品規模は大きく力作ぞろい。市議会議長賞「遠くへ遠くへ帰ってきた麗人(シューベルト『死と乙女』からimages)」は一見キッチュに見える作品だが、頭蓋骨とハイヒールは卓越した作陶の技術によるもの。陶土の物質性を超越した、生と死を包み込む円環的な時間の流れを感じさせる、非常に完成度の高いものであるといえよう。

▽市議会議長賞「遠くへ遠くへ帰ってきた麗人(シューベルト『死と乙女』からimages)」駄駄男▽市美術家連盟奨励賞「MY-COLORS」古市敏夫

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