近代風景画の変遷紹介 日光の小杉放菴美術館 50点展示、来月4日まで
【日光】山内の小杉放菴(こすぎほうあん)記念日光美術館で4月4日まで、近代日本における風景画の変遷に迫る企画展「風景の近代 写実から心景へ」が開催されている。洋画不遇の時代に制作された「おみやげ絵」から、画家たちが自らの画風を確立した時代まで、風景画の移り変わりを放菴や藤島武二(ふじしまたけじ)などの作品でたどる。同館の清水友美(しみずともみ)学芸員は「今の風景画を知る上でも、画家たちが苦労した時代などの作品を通じて変遷を知ってもらえれば」と話した。
同展は3章で構成し、同館が所蔵する作品を中心に約50点が並ぶ。
1章では、日光などの名所を写実的に描いた「おみやげ絵」などを中心に紹介する。「おみやげ絵」は、明治政府の欧化政策の反動により、洋画にとって「冬の時代」を迎えた中で描かれた。放菴の現存最古の作品である日光東照宮の陽明門を描いた水彩画や、放菴の師として知られる五百城文哉(いおきぶんさい)の陽明門の作品などから、同じ題材でも画家による描き方の違いを楽しむことができる。
名所絵的な視点から、画家が興味や関心を持った風景をあるがまま描くようになった。2章では、河合新蔵(かわいしんぞう)らの作品から、何げない景色に着目した画家たちのまなざしについて探る。
3章では、放菴と藤島の作品を中心に自らの画風を確立した時期の作品について紹介。藤島の油彩画「屋島よりの展望」は風景を単純化させることで、その感興を伝えている。
午前9時半~午後5時(入館は4時半)。月曜休館。入館料は一般730円、大学生510円、高校生以下無料。27日午前11時から、担当学芸員によるギャラリートークを実施する。
(問)同館0288・50・1200。
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