障害者が就労の複合施設が沼田にオープン カフェや温泉などの施設で接客通じて交流も

上毛新聞
2020年11月21日
障害者の福祉事業所と店舗が一体となった複合施設。22日に一般利用が始まる

障害者が入所通所する施設と、就労の場となる複数の店舗が一体となった複合施設「SONATARUE(ソナタリュー)」が群馬県沼田市久屋原町で完成し、22日に一般利用が開始される。レストランやカフェ、温泉施設、フィットネスジムを備え、接客などを通じて障害者が利用客と交流。地元で暮らしていくための拠点となることを目指す。

医療法人大誠会(同市、田中志子理事長)系列の社会福祉法人久仁会が運営。就労支援施設としては県内最大規模という。先進事例とされる石川県内の施設などを視察して完成させた。

約2000平方メートルの敷地に、就労継続支援やグループホームなどの事業所と、レストランなどの4店舗を備える。幅広い世代が利用しやすい業種をそろえたという。中庭の公園を囲むように各建物を配置した。

入所者や通所者は今月初めから研修に取り掛かり、一般利用が始まる22日は6人が店舗に出る。障害の程度や適性などを考慮して働いてもらい、例えばレストランでは接客やパン作りを担う。

大誠会グループによると、利根沼田地域は障害福祉施設が少なく、田中理事長の元に15年ほど前、障害児を育てる母親らから「子どもを預けられず、働きに出られない」といった声が届いたという。グループは受け皿として居場所や就労支援の施設を順次設けてきたが、依然として就労先の数は十分でなく、雇用や生活の場を求めて地域外に出て行く人もいる。

複合施設は、障害者の生活と雇用を確保しつつ、訪れた人に障害者が働く姿に触れて理解を深めてもらうことも目的の一つ。市内外の人が集い、交流が広がる場所を目指す。

19日に県庁で会見した同グループまちづくり部の沢野るみ子部長は「利用者がその人らしく過ごし、生きがい、やりがいを見つけられる施設にしたい」と話した。