《旬もの》盆向け小菊の出荷最盛期 JA北つくば花き部会(筑西市、桜川市、結城市)
盆や彼岸に需要の高い小菊。墓前や仏壇に供える花としてなじみが深い。筑西市の濃い緑が広がる小菊畑。早瀬勢樹子さん(65)が夫の孝弘さん(67)と二人三脚で約60アールを栽培する。「7月の東京盆、8月の盆、9月の彼岸は忙しい」と早瀬さん夫妻。この時季、8月の盆に向け出荷が最盛期を迎えている。「日中は花がしおれてしまう」と早朝と夕方、収穫や出荷作業を行う。
早瀬さんはJA北つくば花き部会副部会長兼キク専門部長。小菊専門農家になって20年を超えるベテランだ。専業主婦だったが、地元の農協に勤めていた孝弘さんらの勧めもあり、栽培を始めた。その後、孝弘さんも小菊作りに加わった。
同花き部会は2004年に発足した。主力の菊、アスターなど多品目を栽培しており、三つの専門部を設置する。キク専門部の部員は約50人。女性の生産者も多く、脱サラや定年退職した新規就農者など担い手は多彩だ。「県内でも珍しい、女性が元気な産地」と同JA営農経済部園芸課の須藤彰さん。早瀬さんは「小菊作りは少ない面積で、資材などの初期投資も少なくて済む。重労働もあまりない。農業を始めたい人はぜひ仲間になってほしい」と話す。
同JAは年間約240万本を東京や大阪などの市場へ出荷する。09年度から筑西市と桜川市の広域で県銘柄産地の指定を受ける。赤、黄、白の3色を基本に100を超える品種を育て、5月から12月までの長期間切れ目なく出荷する。「サマールビー」など県オリジナル品種の常陸シリーズも積極的に導入する。
同部会では土壌改善や施肥設計を行い、健全な土作りを進める。専門部は講習会や目ぞろえ会を開き、栽培技術を磨く。小菊の目ぞろえ会は新型コロナウイルスの影響で密になるのを避け3回に分けて開かれた。
早瀬さんは「病気にならないように気を使う」と品質管理を徹底。土壌消毒を行うなど畑の管理に力を入れる。雨風の影響を受けやすい露地栽培。「真っすぐに育てる」ため、支柱を立てネットを張るなど工夫する。
「1本で5、6輪のつぼみが色づき始める」と、切り上げて収穫する。小菊は三分咲きほど。「雨の日もかっぱを着て収穫する」。出荷に追われる日々が続く。
■メモ
JA北つくば花き部会
▽筑西市西榎生1212の1 JA北つくば営農経済センター
▽(電)0296(25)6602
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