「千丈の滝」風情再び 大田原の雲巌寺 住民ら作業、落水復活

下野新聞
2020年7月11日

【大田原】落水が絶えていた雲岩寺の名刹(めいさつ)雲巌寺西側にある「千丈の滝」で、水が岩肌を流れ落ちる姿が見られるようになった。住民有志らが3月に取水口や水路の復旧作業を行った上、梅雨入りで雨が続いたことでよみがえった。同寺の原宗明(はらそうみょう)老師(76)は「そこにある景観を活用して楽しむことは、心の余裕の部分として大切なこと。この滝を『一服の清涼剤』としたい」と復活を喜んでいる。

同滝は、同寺山門から約150メートル西の武茂川右岸にあり、高さ約50メートルの断崖絶壁を水が細く分岐しながら流れ落ちる様子が特徴。同寺が創建された約700年前にはすでに水路が整えられ、滝が造られていたという。

原老師や地元住民らによると、土壌浸食などの影響で水路に土砂が詰まったり破損したりして、7年ほど前から落水量が減少。約1年前にはほとんど水がなくなっていたことから、同寺の依頼を受けた同地区の住民組織「やみぞあづまっぺ協議会」(鈴木一利(すずきかずとし)会長)などの有志8人が、半日かけて復旧作業を行った。

同寺の裏山を登り、水路をふさいでいた倒木を撤去し、土管や取水口に詰まった汚泥をショベルで取り除いた。最後に原老師が揮毫(きごう)した「千丈ノ滝」の立て札を対岸の道沿いに設置した。

作業に関わった町島、農業五月女(そうとめ)昌巳(まさみ)さん(74)は「作業後もしばらくは水量が少なく、岩肌をぬらす程度の落水だった。従来の姿に復活してくれて良かった。滝の水は清らかで心が洗われます」と話した。

同滝付近には一回り小さな「白糸の滝」も流れており、その立て札も合わせて設置された。鈴木会長は「地元の人や地域を訪れた人に風情を楽しんでもらえるよう、協議会で今後も水路を点検、管理していきたい」としている。

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