《旬もの》鮮度よく、多品種が自慢 JA水郷つくばグラジオラス共撰部会(土浦市)

茨城新聞
2020年6月9日

穂先まで線上に花を付ける華やかなグラジオラス。土浦市は全国有数の産地で、1990年から県の銘柄産地に指定されている。JA水郷つくば(本店・土浦市)は鮮度のよさと品種の多さが自慢で、2019年度は切り花約356万本を全国に出荷した。5~11月と出荷期間が長く、6~8月は特に出荷量が多い。そのうち約9割は、同JAグラジオラス共撰部会が共通の規格を設け、同JAの名で「土浦のグラジオラス」として出荷している。

同部会長の萩島一郎さん(49)は約6.5ヘクタールを栽培する。花の姿は見えず、畑は緑に覆われている。これは「飾るときに花が咲くいい状態にするため、きれいな花を届けたい」と話す。球根を定植して約75日で収穫。1メートル20センチほどに育ったグラジオラスを1本ずつ抜いて収穫する。本数がまとまると、腰に付けたひもで束ねる。収穫後は規格に合わせて選別するなど出荷・調整作業を行う。

緑一色のグラジオラス畑。収穫した束を担ぐ萩島一郎さん

規格の最長は1メートル10センチ。そのすらりとした姿は、家に飾るよりも冠婚葬祭や贈答用などで需要がある。祝い事やお供えのスタンド花としても重宝される。

萩島さんは同JA花き部会販売戦略担当の肩書きを持つ。ほかの産地とも連携して花をPRし、小売店などの新規顧客開拓にも力を入れる。「新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、冠婚葬祭が自粛となり影響は大きい。今こそ花の良さを見直してほしい」と訴える。

常総市の生花店、加瀬野裕規さん(32)は、昨年から店の仕事の合間に萩島さんのところで農作業に汗を流す。「花を売っているだけでは分からない生産の苦労を身に染みて感じている」と話す。

白やピンクの需要が多いグラジオラスだが、赤や黄、紫など色合いは多彩で、同部会では約30品種を栽培する。「長持ちする花。白一つでも純白からクリームまで色の幅が広い。知れば知るほど面白い」と魅力を語る加瀬野さんは2009年、技能五輪国際大会のフラワー装飾種で銅賞に輝いた実績の持ち主。萩島さんが育てた紫色の花を使い高さを生かしたフラワーデザインを披露してくれた。

新型コロナウイルスの影響で心持ちが不安定な今日このごろ。せめて花や緑に癒やされたい。「旬もの」では暮らしを彩る花も取り上げていく。

■メモ
JA水郷つくばグラジオラス共撰部会
▽JA水郷つくば営農部の住所は土浦市田中1の1の4
▽(電)029(823)7001

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