かやぶき屋根装い一新 益子「日下田邸」 雨漏り、初の全面ふき替え コロナ収束後 藍染め工房見学を

下野新聞
2020年4月29日

 【益子】江戸時代の寛政年間(1789~1801)に建てられ、県指定文化財になっている城内坂の「日下田邸(染色工房併用)」のかやぶき屋根のふき替え工事が終了した。腐朽が進み雨漏りも生じてきたため、今年1月から専門の業者に依頼して工事を進め、今月21日に足場を外すなどして完了した。これまで一部を修繕することはあったが、一度に全面的にふき替えたのは初めて。当主で県文化功労者の日下田紺屋9代目日下田正(ひげたただし)さん(80)は「新型コロナウイルスの影響による外出自粛が明けたら、装いも新たな外観と共に、邸内の藍染め工房の見学や作品を見に来ていただきたい」と話している。

 日下田邸は木造平屋の寄せ棟造りで、藍染め業「日下田藍染め工房」の住居と作業場を兼ねた建物。大戸を入ると左手が藍染めの作業場になっており、72個の藍染め用の甕(かめ)が整然と並ぶ。天井は竹のすのこ張りとなっている。

 日下田さんによると、かやの腐朽などで数年前から雨漏りがするようになり、県、町と協議し全面的にふき替えることになった。工事は株式会社「茅葺(かやぶき)屋根保存協会」(下野市)に依頼し、静岡県内から調達したかや束計約28トンを用いて面積約380平方メートルに及ぶ屋根のふき替え作業が行われた。工事費の半分は県が負担し、残りを町と日下田さんが折半する。

 同社の古海賢一(ふるうみけんいち)専務取締役(48)は「屋根の棟に載せられている雁振瓦(がんぶりがわら)と、棟の両端にある日下田家の家紋などが入った鬼瓦が特徴的。かやぶき屋根は、部分的な補修をすれば30年以上は持つと思う」と話している。

 邸内では藍染めした財布や名刺入れ、布製コースターなどを販売しているほか、邸北側のギャラリーでも色鮮やかなTシャツやストール、ワンピースなどを展示即売している。

 邸内見学などは午前8時半~午後5時。月曜定休。(問)日下田さん方0285・72・3162。

地図を開く 近くのニュース