県内中小店の登録1万超 町村部の普及に課題 ポイント還元4カ月

上毛新聞
2020年2月20日

 消費税増税に伴うキャッシュレス決済のポイント還元制度について、県内中小店の登録が11日時点で1万2261店になったことが12日、経済産業省のまとめで分かった。昨年10月の制度開始から4カ月強で倍増し、スーパーではキャッシュレス決済の割合が伸びている。ただ、人口千人当たりの登録加盟店数は6.3店と都道府県別で5番目に少なく、登録が少ない町村部では利用者が限られており、普及に向けて課題も残っている。

 「1月の売り出し時は、7割がキャッシュレス決済。カードで払う人がこんなにいるとは」。剣道の道具専門店、西山剣道具店(高崎市)の西山篤史さんはキャッシュレス決済導入に手応えを感じている。増税前は現金だけを扱っていたため、「『この店でもカードが使えるのか』と驚かれる」(西山さん)という。

 経産省によると、県内の登録店は制度開始時が全35市町村で6079店だった。11日時点では最多の高崎市が2724店、前橋市が2150店と、いずれも2倍近くになった。

 登録店は工場内の食堂にも広がっており、しげる工業(太田市)の本社工場内食堂で営業する、はるやま(同)は「お客にメリットがある国の制度なので活用した」と説明する。

 キャッシュレス決済の割合も伸びている。県内4店舗でスーパーを展開する、しみずスーパー(前橋市)では制度開始前の8%から現在は20%程度に増えた。同社は「ポイント還元がだいぶ知られてきた。ポイント還元目的の若い人も来店している」とみる。

 一方、登録店は町村部で依然として少なく、最少の南牧村は2店にとどまる。

 14店が登録されている高山村で「ガレージカフェ ルート36」を営む大渕博文さんは「ポイント還元ができるようにしたが、カードを使ったのは3、4人。なかなか話題にもならない」と嘆く。ある村の経営者も「準備はしたが使っていない」と消極的だ。

 同省によると、全国の登録は11日時点で101万3839店で、対象となる中小約200万店の過半数を達成した。11日時点の申請数は約105万店で、順次登録を進めている。

 登録状況を都道府県別でみると、千人当たり11.9店の石川が最多で、次いで東京、京都の順だった。最少は埼玉の4.9店で、千葉、茨城が続いた。