左大臣・右大臣 輝き 120年ぶり 那珂川・鷲子山上神社 氏子らの募金で修復

下野新聞
2020年2月17日
修復された左大臣像

 【那珂川】矢又の鷲子山上(とりのこさんしょう)神社の境内にある左大臣、右大臣像が、約120年ぶりに修復された。同神社が氏子や参拝者らから募金を集め、2018年11月から仏師に修復を依頼していた。約300年前に作られた両像が元の姿に近い形で復元されており、長倉樹(ながくらたてる)宮司(70)は「立派に完成したので多くの方に見てほしい」と話している。

 両像は栃木、茨城両県の指定文化財である楼門(ろうもん)に安置されている。木造で高さは約1メートル。衣冠束帯姿で太刀や弓を携え、虎皮を敷く台座に片足を組んで座る。同神社によると江戸時代の1721年に江戸の仏師原田左京によって作られ、明治時代にかけて何度か修復が行われた。

 記録では最後の修復が1901年だったとされ、近年は絵の具が剥がれ傷みも激しかった。長倉宮司は茨城県桜川市の仏像修復師、飯泉太子宗(いいずみとしたか)さん(45)に修復を依頼。飯泉さんは像を解体し、腐食した部材を新しくしたり、ひび割れを直したりした。過去の修復の跡を確認しながら、彩色も含めてできる限り元の姿に近づけた。

 12日には修復された像の設置作業が行われ、飯泉さんらが色鮮やかな輝きを取り戻した左大臣、右大臣を慎重に元の場所に戻した。作業終了後、飯泉さんは「像が楼門になじんでいてほっとした」と胸をなで下ろした。

 長倉宮司は「協力してくれた両県の氏子や崇敬者、仏師の方々に感謝したい」と話した。同神社では両像のライトアップなども行う予定。(問)同神社0287・92・2571。