全身全霊 熱湯で清め 日光 清滝神社、伝統の荒行
下野新聞
2019年5月16日
煮えたぎる塩湯をクマザサですくい上げ、全身でしぶきを浴びる伝統の荒行「湯立て神事」が15日、日光市清滝1丁目の清滝神社で行われた。
820年、弘法大師空海によって神社が開かれて以来、続いていると伝わる全国でも珍しい神事。塩湯を浴びることで心身を浄化し、氏子ら地域住民の延命長寿と厄よけ開運を祈願する。
この日は、小雨が降るあいにくの天気。正午前、氏子らが寄進した新しい舞台に、白装束姿の篠田薫禰宜(しのだかおるねぎ)(53)が緊張した面持ちで上がると、雨も上がり薄日が差し込んだ。
篠田禰宜は、煮えたぎる大釜の湯に塩を入れ清めた後、両手に持ったクマザサを浸した。「エイ」と気合を入れながら一気に頭上まですくい上げ、全身にしぶきを浴びた。周囲は湯煙で真っ白になり、禰宜の姿も見えなくなるほど。神事を終えると見学者から拍手がわき起こった。
地域学習の一環で見学していた同市清滝小6年、東楽人(あずまらくと)君(11)は「すごい迫力だった。こういう神事を次の世代に伝えていくことが大切だと思いました」と話していた。