《味な探検隊》藤岡・ラーメン店巡り

上毛新聞
2018年7月1日

かつて町おこしを掲げ、「上州藤岡ラーメン会」が結成された、知る人ぞ知るラーメンのまち、藤岡市。正統派から変わり種まで、個性的な一杯との出合いを求め、市内各地のラーメン店を訪ね、食べ比べてみた。

◎みやご食堂 (藤岡市藤岡) 麺にスープに具に個性 自家製 太くコシ強く


「昔ながらの伝統の味」。白地のれんに赤い文字。昭和を感じさせる外装に、どことなく「いちげんさんお断り」といった雰囲気を感じつつ店に入った。
数えるほどの机と座敷しかない小空間。平日の昼時は即座に席が埋まり、土・日曜は開店待ちの客が列をなす。東京、神奈川など県外ファンも多い創業63年目の人気店だ。「頑固な店」のキャッチコピーでテレビ番組に出演したことも。その異名とは裏腹に、2代目店主の山田常夫さん(63)は穏やかに話す。


客の目当ては、正統派しょうゆ味の「中華そば」(600円)。山田さんが「優しくない麺」という自家製太麺は、コシが強く歯応え十分で癖になる。分厚いなると、チャーシュー、メンマなど王道の具材が顔をのぞかせる、透き通った黄金色のスープは、漁港から取り寄せた煮干し、豚がらなど12種の具材を使用。飲み干せるほどしつこさがない。
カレーライス(600円)、かつ丼(700円)など食堂の定番メニューもあるが、多くの人は中華そばを注文する。「ご飯物があったの」と反応する常連もいるくらいだ。100円追加し、大盛りを注文する人も多い。
納得のいく麺を打つため、15年前から夜間の営業をやめ、ランチのみに専念する。「先代を踏襲するだけでなく、現代人の口に合った具材や味で自分なりのラーメンを提供したい」。一見するとシンプルな中華そばだが、口に運ぶと随所に山田さんのこだわりを感じ、広く支持されるのも納得の一杯だった。
水曜定休(臨時休業あり)。問い合わせは同店(☎0274・22・0636)へ。

①中華そば&親子丼「けのひ」(藤岡市森) 健康配慮で薄味に


音楽好きの店主、佐藤信雄さん(61)が選曲した心地よい洋楽が店内に流れる。今年4月に開店したばかりで、健康に配慮したメニューを多数提供する。
特製中華そば「ハレ」(900円)は、しょうゆベースのスープに札幌直送の卵麺が絡む看板メニュー。豚肉とニンニクは使わず、鶏つくね、ショウガなどで薄味に仕上げた。急な血糖値上昇を気遣い、ラーメンを食べる前に日替わり野菜を勧める。通称「ベジファースト」。新鮮な前菜が楽しめる。
県産の赤卵を使った親子丼(800円)も人気。ラーメン同様、人工の調味料は使用していない。
月曜、第2・第4日曜定休。問い合わせは同店(☎0274・33・9106)へ。

②全品手打ちラーメン大龍 (藤岡市藤岡) 全品手打ちが自慢


全品手打ちで、コシのある太麺が特徴。創業35年の店は2代目の黒沢啓二さん(49)が切り盛りする。父の跡を継いで22年間、手打ちにこだわってきた。
「五目ラーメン」(870円)は来店客の半数が注文する。あっさりとした煮干しベースのスープと、白菜や豚肉入りあんとの相性が良い。「1杯で満足してほしい」と、麺の量は通常店の倍近い260グラムを提供する。焼きそば(800円)も人気。「焼きそばの麺まで手打ちなのは、うちぐらいじゃないか」と自負する。
平日はコーヒーが無料。メール会員には通常380円のギョーザを90円で提供するサービスもうれしい。
火曜定休。問い合わせは同店(☎0274・24・1421)へ。

③柿乃木(藤岡市上大塚) 魚介豊富 味に深み


江戸時代に「姫街道」と呼ばれた道路沿いに店を構える。人気は、エビやホタテをふんだんに使った「姫ラーメン」(890円)。みそ、しょうゆを独自の割合で調合したスープに魚介のうま味が溶け込み、味わいに深みがある。テーブル席、座敷が充実し、昼間は家族連れや会社員、夜は宴会客でにぎわう。
月曜定休。問い合わせは同店(☎0274・23・8512)へ。

④もりもり亭(藤岡市藤岡) 地場トマトで洋風


店内は天井が高く、開放的で落ち着いた雰囲気。一押しは藤岡産トマトを使った「とまとみそラーメン」(860円)。コクのある自家製みそと豆乳のまろやかなスープに、エビやパプリカを入れた洋風の一品だ。かつおだしベースの「梅しおラーメン」(670円)は紀州梅が効き、さっぱりと食べられる。
木曜定休。問い合わせは同店(☎0274・22・6195)へ。

【こんなお店も…】
⑤めん処だいとうえん(藤岡市下戸塚、☎0274・43・1190) 唐辛子や豆板醤(とうばんじゃん)を使った真っ赤な「地獄ら~めん」(810円)が看板メニュー。辛さは4段階。辛いのが苦手なら「空っ風みそら~めん」(756円)がお薦め。月曜定休。

⑥ドライブイン七輿(藤岡市上落合、☎0274・23・0951) 全国的にも珍しいラーメンの自動販売機が目を引く。硬貨を入れて30秒ほどで完成する自家製の「チャーシュー麺」(350円)は、1日30食近く売れる人気商品。無休。

◎本日の探検隊員 文化生活部 堀口颯記者 変わらぬ味 発信期待
藤岡市が古里の記者。なじみのある市内だが、店主が趣向を凝らした新たなラーメンにたくさん出合うことができた。2代目店主が迎えてくれる店も複数あり、長年変わらぬ味を守り続けていた。今後も藤岡のラーメン文化が脈々と受け継がれ、「ラーメンのまち」として、県内外にさらに認知されることを期待したい。

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