《茨城いちばん》セリ 地下水で高品質

茨城新聞
2018年2月20日

 「春の七草」の代表格で、正月料理に欠かせないセリ。雄大な霞ケ浦と北浦を擁する茨城県は一大産地で、品目別農業産出額(2015年)は13億円で堂々の日本一だ。湖の水と豊富に湧き出る地下水を生かし、品質の高いセリを全国各地に出荷している。
 
 県内で特に栽培が盛んなのが、この二つの湖に挟まれ“弐湖の国”とも称される行方市。冬場の農閑期にと約50年前から栽培が広がり、水田転作と相まって栽培面積が増加し、出荷量も安定してきた。1989年に発足したJAなめがたセリ部会(河野哲也部会長)など、多くの生産者が栽培を手掛けている。
 
 旬は年末年始とされるが、豊富な水資源に恵まれた立地条件を生かして10月中旬から5月ごろまで出荷は続く。生産者は冬場の寒い時季に、冷たい水田に漬かりながら1株ずつていねいに収穫。きれいに泥を落とし、束にして出荷される。選別したセリの一部は来年用の苗として保管され、3月ごろから親株として増やされる。
 
 日本原産の野菜で、独特の香りと食感が楽しめるセリは、正月の七草がゆや雑煮はもちろん、冬場の鍋料理やおひたし、ご飯、漬物などさまざまな食べ方で食卓を彩る。昔から、二日酔いや食欲のないときに食べると元気が出ると言われ、薬草としても知られている。
 
 ビタミン類や葉酸、鉄なども豊富に含み、特有の香り成分は胃を丈夫にし、食欲増進やビタミン補給に役立つ。河野部会長は「多くの人に食べていただき、健康になってほしい」と願いを込める。 

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