《食いこ》無添加、本場ブラジル料理 ベリンバウ(茨城・鹿嶋市)

茨城新聞
2023年10月15日

ブラジル・サンパウロ出身の渥美リカルド兼治さん(54)がオーナーを務める茨城県鹿嶋市のブラジル料理店「ベリンバウ」。食材の仕入れから調理、配膳、接客までこなすのは、「ブラジル料理を初めて食べる人も多い。全て説明できることが大事」だからだ。

食材はベーコンやハム、パン粉に至るまで無添加にこだわり、野菜や果物はなるべく有機のものを使う。「ブラジル料理では世界唯一かも」と笑う。

きっかけは数年前、常連客が亡くなったことだった。夫婦で来ていた女性は闘病中、日記に「元気になったらベリンバウに食べに行く」と書いてくれていた。新型コロナ禍で、店の方向性を模索する時期でもあった。体に良い食事とは-。勉強を続ける中で、たどり着いたのが無添加。「家族でテーブルを囲めるように、お客さんに長生きしてほしい」との思いで方向転換した。

ブラジルで定番「ビッフェ・ア・パルメジアーナ」

人気メニューは、現地では土曜日の昼に食べられることが多い定番料理「フェイジョアーダ(豆と肉の煮込み)」。生の豚肉と牛肉を買い付けると1週間かけて下味を付け、燻製(くんせい)し、黒インゲン豆とじっくり煮込む。味付けは塩とニンニクのみとシンプルで、かけた時間がそのままおいしさにつながる。

手間を惜しまない作り方は、牛かつにトマトソースやチーズをのせた「ビッフェ・ア・パルメジアーナ」など全ての料理に共通する。来店後の注文では待ち時間が長くなるため、事前注文が必要な完全予約制としている。

テラス席からは県立カシマサッカースタジアムが見える

父の故・直さんが店を開いてから、来年4月で30周年を迎える。2016年に県立カシマサッカースタジアムの目前に移転。本場のブラジル料理が食べられるということで、多くのブラジル人が活躍する鹿島アントラーズとの関わりは深い。普段から監督や選手らが通い、年に数回決起集会が開かれる。

店舗は渥美さんがデザインし、店内には自ら撮影した空港や気動車、北浦などの写真がずらり。「いつか写真好きを集めたイベントを開きたい」と、料理以外にも夢が広がる。

「よほど好きじゃなければ、また来週食べようというものじゃない。月に1度来てもらい、少しずつ輪が広がっていくのが理想」と穏やかにほほ笑んだ。

■お出かけ情報
ベリンバウ
▽鹿嶋市宮中5132の2
▽営業時間はランチ午前11時30分~午後2時、ディナー午後5時~8時半ラストオーダー。
▽火曜定休、臨時休あり。
▽(電)0299(83)3722
▽完全予約、事前注文制。

メニューは公式ホームページから。