《食いこ》ラ・メゾン・デュ・パン・クリハラ(茨城・水戸市) 「茨城×世界」が生むパン

茨城新聞
2023年8月23日

茨城県水戸市の「ラ・メゾン・デュ・パン・クリハラ」は広々とした空間に「奥久慈卵の濃厚クリームパン」や「常陸大黒の豆パン」、茨城県内和菓子店で炊いたあんを使った「エリモショウズ雅あんぱん」など茨城県産の食材を使ったパンがずらりと並ぶ。コンセプトは「茨城×世界」。優れた県産食材と、世界中の食材やさまざまな種類のパンを組み合わせる。

飾らないシンプルなデザインの外観

 

オーナーシェフの栗原淳平さん(40)は、今秋ドイツで開かれるパンの世界大会「ibaカップ」に出場予定。日本を代表するパン職人だ。同県のひたちなか、那珂両市にそれぞれ店舗を構える「パン工房ぐるぐる」も経営している。

店内で提供するカフェメニューのサラダは、弟・玄樹さん(36)が社長を務める農園「栗原農園」の野菜を使う。ベーコンやハム、とんかつに使う豚肉も県産。ベーコンなどは県内の加工業者に依頼し、添加物を極力抑えるよう頼んでいる。

「発酵×熟成」をもう一つのコンセプトに掲げ、「体にもおいしいパン」を目指す。発酵と熟成の時間を長く取ることで、生地のうまみが最大限引き出され、減塩が可能。「(例えば)だしの利いたみそ汁は塩分控えめでもおいしい」と話す。

店内の壁やカウンターなどにも県産素材が使われている

 

人気の食パン「麦の香り」の原料は県産小麦粉と塩、水、パン酵母、こうじのみ。バターなどの乳製品や砂糖を使わない上、塩の分量は一般的な食パンより2割少ない。「小麦粉由来の自然の甘みを感じることができる。発酵×熟成でおいしさが出ている代表例だ」と胸を張る。

バゲットも小麦粉、塩、パン酵母、水のみで、手ごねでじっくりと仕上げている。そうすることで「〝だし〟が利いたパンになる」という。

インテリアへのこだわりも随所に表れている。パンが並ぶカウンターは笠間市産の稲田石。壁材には、笠間焼に使われる土を練り込んでいる。店内中央に並ぶ観葉植物は、茨城県出身アーティストが植栽を担当した。小麦と栗原の「K」をモチーフにしたロゴマークも県内のデザイン制作会社が手がけるなど、茨城県ゆかりの人や物でそろえた。

五感で「茨城を味わう」ことにこだわった店内は、「アンテナショップのようだと思っている」。昨年7月に開店して1年。「パンで幸せを追求していく」と笑顔だった。

 

■お出かけ情報
ラ・メゾン・デュ・パン・クリハラ
▽水戸市笠原町1373の1
▽営業時間は午前9時~午後6時
▽定休日は水曜
▽常時70~80種類のパンをそろえる
▽(電)029(291)7775