《いばらき御朱印めぐり》一言主神社(常総市) 九曜紋と笹リンドウ
■意匠凝らし独自帳面も
茨城県常総市は菅生沼のほど近くに一言主(ひとことぬし)神社(じんじゃ)(大塚令昌(よしまさ)宮司)はある。祭神の一言主大神(ひとことぬしのおおかみ)は「一言願わば良きことも良からぬこと(病気や災難など)もおろそかにせず、よく聞き分けてご利益を授けてくれる、言霊の神さまと伝わっています」と由緒を説明するのは神職の大塚了(さとる)さん(55)。古くは「古事記」や「日本書紀」にも記述が見られるという。
それもあってか「どんな願いも一言発すればご利益がある」といった民間伝承が広まり「一言主明神」と称されることも。
同社では、通年授けている御朱印の他、新年1月限定、6月夏越しの大祓(おおはらえ)限定、9月秋季例大祭限定-の4種類を出しており、新年限定は毎年4千枚に上る。
いずれも太陽の周りに八つの星が並ぶ、九曜紋と笹リンドウを組み合わせた同社の紋を上部に置いた意匠を凝らしている。モミジ、サクラ、三日月、水をあしらった同社オリジナル御朱印帳もある。
大塚さんによると神社の始まりは809(大同4)年。同社の近くに妖しい光が現れ、やがて雪の中からタケノコが生え、1本が三つに分かれた「三岐(みつまた)の竹」となった。不思議な出来事に村人たちは恐れ、おはらいをしたところ「私は大和国葛城山は東高宮の一言主大神である。今この国の人々を災いから救うためにここに来た。三岐の竹を私と思い末永くお祭りしなさい」と告げられた。
平将門の子孫、相馬家の信仰もあつく、同家によって社殿が再建されたこともあった。現在の拝殿は1867(慶応3)年に完工したもの。
一年を通して同神社を訪れる参拝者数のピークはかつては秋季例大祭だった。大塚さんは「例大祭には千葉県などから多くの『講』がバスを仕立てて参拝に訪れ、千人の団体もいました。しかし最近は県内近隣からの初詣が増え、逆転しています」と移り変わりを語る。「講のまとめ役を継ぐ人がおらず、そのまま終わる例が多いようです。ここ10年の大変化」とも。
比例して祈禱(きとう)依頼も例大祭より正月が多く、県内でも有数の初詣スポットとなっている。毎年新年には5万人が参拝し、三が日には多くの露店が立ち並ぶ。「地域の傾向でしょうか、新車のおはらい依頼も多いです」と意外な特徴も。参拝者の傾向もさまざまあるものだと感心。
拝殿前で御朱印とともに笑顔でポーズしてくれた神職の古賀政孝さん(29)は「ご祈願は予約なしで受け付けています。ぜひ一度ご参拝ください」。(第1土曜日掲載)
■メモ
アクセス…車か、最寄りの常総線水海道駅からタクシーで。国道354号を坂東市方面へ西進し、県道坂東菅生線との神田山交差点を左折して5分。
住所…常総市大塚戸町875
電話番号…0297(27)0659
御朱印…500円、御朱印帳1200~1500円。受付時間は午前9時~午後5時。無料駐車場あり。