茨城・笠間の陶炎祭、入場500円に 組合、感染対策に充当
■コロナ感染対策に充当へ
笠間焼の祭典「笠間の陶炎祭(ひまつり)」について、主催する笠間焼協同組合は、今年の開催に当たり入場を初めて有料化することを明らかにした。昨年に茨城県笠間市から受けた新型コロナウイルス感染症対策の支援がなくなり、自力で費用を捻出するためだ。入場料は1人500円とし、収益は会場内の感染対策に充てる方針。組合は「陶炎祭は自由な雰囲気を大切にしてきたので、有料化は苦渋の決断。ただ、永続的ではなく、来年以降は感染状況を見て判断したい」としている。
41回目を迎える今年の陶炎祭は、4月29日~5月5日に笠間芸術の森公園イベント広場(笠間市)を会場に開催。200を超える陶芸家や窯元・工房が陶芸作品や食べ物を販売するなど、茨城県の人気イベントとして定着している。
2020年はコロナ禍により、初めて中止に。21年は感染防止のため会場内をフェンスで囲んだほか、販売テント内にアクリル板やビニールカーテンを設置したり、飲食物はテークアウトにしたりするなど対策を徹底した上で開催した。
感染対策費用の1100万円は、市が20年度のコロナ対策臨時交付金を21年度に繰り越す形で組合に拠出。だが、21年度の同交付金500万円は22年度に繰り越して、会場外での警備や臨時駐車場の設置などに充てられることになった。組合は対策費用の捻出を迫られ、入場の有料化を決断した。
県によると、21年の入場者数は19年比で87・1%減の6万4780人。組合によると、売り上げは19年比で約3割減にとどまったという。組合は「入場者数は極端に減少したが、売り上げは大幅なマイナスにはならなかった。焼き物の購入を目的とするお客さまが確実に来場されたのでは」と分析する。
一方、今年の入場有料化について、組合の大津廣司(ひろし)理事長(74)は「陶炎祭が始まって40年余が経過し、今や茨城県を代表するイベントになった。お客さまの安全や開催の持続性を考慮すれば、運営の変更は避けられないと考える。理解と協力をお願いしたい」と説明している。