ヘンリー・ミラー展開催 真岡・久保交流館など2会場 自由奔放な世界へ 水彩画や版画41点

下野新聞
2020年7月13日

 【真岡】企画展「ヘンリー・ミラー展」(市教委主催)が、荒町の久保記念観光文化交流館美術品展示館と田町の市まちかど美術館の2会場で初めて同時開催されている。市ゆかりの美術評論家久保貞次郎(くぼさだじろう)さん(1909~96年)の遺族から寄贈された「久保コレクション」の中から、小説「北回帰線」で知られる米国の文豪ヘンリー・ミラー(1891~1980年)の水彩画や版画など計41点を展示している。

 ミラーは執筆の合間に水彩画を描き始め、生涯に数千点の作品を生み出した。美術品コレクターでもあった久保さんは作品の芸術性に魅了され収集するとともに、自ら版元となり水彩画を版画として頒布するなどミラーの紹介に努めた。

 第1会場の交流館では前期展として、ミラーが1944~79年に制作した「卓上の瓶」や「道化師B」、「いつも愛を」といった水彩画9点のほか、リトグラフ「幸せな日」やエッチング「早朝の音楽」など15点を展示している。

 一方、第2会場の美術館では9日に後期展が始まった。ミラーのリトグラフ「ブルックリン子」と、その原画など17点を紹介している。同リトグラフは、国内を代表する版画家吉原英雄(よしはらひでお)さん(1931~2007年)が、久保さんの依頼で版下制作に携わった。

 市教委の担当者は「市内を周遊してもらおうと初めて2会場で開催した。ミラーの自由奔放な世界観などを楽しんでほしい」と来館を呼び掛けている。

 両館とも入場無料。交流館の前期展は27日までで、30日~9月22日は作品を入れ替え後期展となる。美術館の後期展は8月31日まで。(問)交流館0285・82・2012、美術館080・8736・3984。

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