《食いこ》三春(日立市) 太平洋望む料亭とカフェ

茨城新聞
2020年3月8日

日立市の料亭「三春」は創業70年。2階でカフェを営む。玄関前にツバキとジンチョウゲの花が咲き、春の気配に満ちる。靴を脱いで上がると、和の空間ながら異国の古美術品などが飾られ、不思議な雰囲気を放っていた。

料亭は各部屋で趣を異にする和室が4部屋。座敷で特別な時間を過ごせる。カフェも畳敷き。どの部屋からも太平洋が望める。3代目おかみ、渡辺映理子さん(54)が「眺めもごちそう」と笑顔で迎えてくれた。

三春は渡辺さんの祖母が開いた小料理店が始まり。その後料亭となった。東日本大震災では高台にあり津波の被害はなかったが、建物が半壊し営業ができなくなった。それまでは「ほんの手伝い程度だった」という渡辺さんが、店の一大事に3代目を継ぐことになった。

3代目は店の危機に際し名物「笹巻(ささまき)ごはん」の通信販売を思い付いた。宴会の最後に出していて、お土産に持ち帰る人が多かったという。本来の具はウナギだが、「県産品を使いたい」と豚肉でも作るようになった。甘辛く味付けした豚肉とシイタケの具を国産もち米で巻き込み、ササの葉で包みイグサで結ぶ。「豚肉は脂抜きや煮込みに手間を掛けている。ササもイグサも国産だから、ふかすと香りが良い」

料亭で出す料理は2代目の母と2人で作る。長年受け継がれてきた料理を基本に、寒天やごま豆腐も手作りする。「自家製の野菜を使った料理も多い。地味だが丁寧に作っている」。笹巻ごはんはコース料理の一品として出す。持ち帰りや通信販売などの冷凍笹巻ごはんもある。

震災時宴会場だった2階をカフェに模様替えした。「cafe miharu」のケーキは渡辺さんが手作りする。愛媛県宇和島産レモンを使ったケーキとチーズケーキ、祖母の味をイメージしたプリンの3種類が定番。

カフェでは写真展や音楽ライブなどの企画を催す。料亭が伝統を受け継ぐ場なら「カフェは人と出会い、楽しさを共有する場になってほしい」と3代目らしさを出す。SNS(会員制交流サイト)で情報を発信する。

■お出かけ情報
三春
▼住所は日立市旭町2の8の14
▼料亭は午前11時半~午後2時半、午後6時~同9時半(昼夜とも前日までの完全予約制)、カフェは午後1時~同6時(ラストオーダー同5時)
▼定休は月曜・火曜
▼(電)0294(22)1567

地図を開く 近くのニュース