高齢ゾウ 宮子にプールを 宇都宮動物園 CF開始 目標1300万円、バリアフリー化 

下野新聞
2021年8月13日

 高齢の雌ゾウ「宮子(みやこ)」を飼育している宇都宮動物園(宇都宮市上金井町)は12日、ゾウ舎のプールを改修するためにクラウドファンディング(CF)を始めた。新型コロナウイルス禍で経営が厳しいため、CFで資金を集め、プールをバリアフリー化する計画。荒井賢治(あらいけんじ)園長は「もうすぐ50歳を迎える宮子に、思いっ切り水浴びを楽しんでもらいたい」と話している。

 宮子は1973年、1歳でタイから市内の動物園に来園。宇都宮動物園は、開園した81年から飼育し続けている。丸顔で鼻の根本が太く、表情豊か。顔がかわいいとすぐ園の人気者になった。現在48歳で、人間に例えると約80歳になる。

 ゾウ舎のプールは縦横3メートル、深さ1・6メートル。宮子は若い頃は暑くなると水浴びしていたが、30歳ごろから入らなくなった。同園によると、小さな階段を下りることや、プールが深く水が冷たいままであることを嫌がったとみられている。

 年を重ねた宮子のため、改築後のプールは横6メートル、縦5メートルと広くする一方、形状をおわん形にして最深部を1メートルと浅めにし、階段の代わりにスロープを設置する。11月末ごろ着工、来年3月の完成を目指す。

 同園はもともとプール改修を計画していたが、コロナ禍で入場者数が例年の20万人から昨年は15万人に激減。今年も団体客は見込めず、厳しい経営環境が続いている。

 CFで集める資金の目標額は1300万円。10月17日まで個人、団体から5千~100万円を募っている。支援者には同園の年間パスやオリジナル体験ツアー、オリジナルグッズなどのリターンがあるという。

 飼育員磯哲雄(いそてつお)さん(59)は「宮子はいろいろ病気もしたけど、今は健康。楽しく遊んで長生きしてほしい」と話している。

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