自社生産酒米に付加価値 宇都宮・まほろば農場 オリジナル日本酒販売 コメやみそセット構想も

下野新聞
2021年5月11日

 農地所有適格法人のまほろば農場(宇都宮市上小倉町、大木正博(おおきまさひろ)社長)は、自社で生産した酒米「五百万石」で醸した純米吟醸酒「まほら」の販売を始めた。今後、日本酒を単品で販売するだけでなく、コメや自社製みそなど加工品とセットで販売する構想も進めている。

 同社の栽培規模は、コメ・大豆約32ヘクタール、野菜施設園芸35アール。養蜂も手掛け、委託醸造したみそも販売する。ただ、人口減少によるコメ需要が伸び悩むなど、農業の経営環境が厳しさを増す中、大木社長は「農作物の付加価値を高めることが不可欠」とみて、自社農場オリジナルの日本酒を造ることにした。

 上河内地区を流れる西鬼怒川は、銘柄「澤姫」を醸す井上清吉商店(同市白沢町、井上裕史(いのうえひろし)社長)へ伏流水が地下水として流れており、米作りをした同じ水で日本酒が造れる同社に醸造を委託した。

 井上社長は「上小倉町はおいしいコメを取れることで定評がある。コメのうま味を生かした酒にすることを目指した」と話す。精米歩合を60%にとどめ、これまでにない酵母を組み合わせ、「コメのうま味がありながら、きれいな味わいの酒になった」と説明する。

 「まほら」は、素晴らしい所を意味する「まほろば」の東北なまりから名付けた。アルコール度数16・5度。720ミリリットルで1500円。同市下小倉町の直売所「JAグリーンかみかわち」などで販売している。

 今後、コメやみそにとどまらず、精米で出るぬかや、日本酒造りで出る酒かすを使った漬物加工品など、同じ水や土地で作る商品を構想している。

 大木社長は「お酒も主食用米で造って味比べできるようにしたり、独自のセット商品を作ったりして、付加価値を高めていきたい」と話している。

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