常陸太田 すいふ・ひまわり工房、「柿の丸漬け」金賞 県農産加工品コンクール

茨城新聞
2020年2月19日

常陸太田市内の女性農業者7人が自家生産や地域の野菜を使った漬物や酢漬けを作る「すいふ・ひまわり工房」(同市国安町)の約10年ぶりの新商品「柿の丸漬け さとやまピクルス風」が今年の県農産加工品コンクールで最高位の金賞の一つに選ばれた。2年以上かけて商品化したもので、これまでの漬物の技術や原材料の収穫を行う生産農家の利点を生かして商品化にこぎ着けた。

メンバーは兼業農家の女性たちで、コメや野菜、花き、果樹などをそれぞれ生産している。常陸太田地域農業改良普及センターで開講していた「茨城婦人大学」で共に学び、自分で育てた農産物を無駄にしたくないと2000年から加工販売を始めた。現在は主に週1回集まり、商品5種類を販売する。

柿の丸漬けは、地元でつくる「水府地区活性化推進協議会」のほか、県や同市、東京農業大が連携した「柿まるごと活用プロジェクト」の一環で開発。果樹栽培が盛んな同地区の柿を生かし、地域活性化を図る狙いがある。

原材料は同工房代表の山本寿江さん(66)が生産する渋柿で、規格外で廃棄したり干し柿で販売していたものを使った。10月初旬、一般的な収穫時期よりも早く収穫し、1カ月以上塩漬けして渋抜きする。実がとろけるのを防ぎ、シャリシャリとした食感を残した。皮をむいた酢漬けの柿を丸いままパッケージに入れ、インパクトのある見た目も高評価を得た。種がない品種で切りやすく、料理やお菓子作りにも向くという。「収穫時期が大事。生産者だからこそ漬物加工に適したタイミングを見極められる」と山本さん。

ほかに、しば漬けや梅、キュウリの漬物なども同コンクールで受賞。経験を生かし、塩分濃度をわずかに変えるなど研究を重ね、砂糖と酢、塩のみのシンプルな味付けで仕上げた。今年は約240個分を仕込み、直売所で300円程度で販売している。

メンバーは親の介護など生活環境が変わっても活動を継続してきた。山本さんは「生産工程が分かるので自信を持って説明できる。今後も改良を重ねていく」と意気込んだ。

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