つくば 世界湖沼会議が開幕 50カ国・地域の4000人 自然の恵み未来へ

茨城新聞
2018年10月16日

霞ケ浦などの湖沼を取り巻く問題について議論する「第17回世界湖沼会議」は15日、つくば市竹園のつくば国際会議場に秋篠宮ご夫妻をお迎えして開会式が開かれ、5日間の日程で幕を開けた。50の国と地域から研究者や行政・企業関係者、市民ら約4千人が参加し、湖沼や水に関わる環境問題の解決に向けて多様な視点から意見を交わす。

茨城県開催は1995年の第6回会議以来、23年ぶり。今回のテーマは「人と湖沼の共生」。気候変動などで生物多様性が失われつつある中、将来にわたって湖沼がもたらす自然の恵みを享受するための方策について考える。

同日午前の開会式には約千人が参加し、実行委員会長の大井川和彦知事は「今ある生態系サービスを次世代へ引き継ぐことが求められている。それぞれの役割分担のもとに連携が強化され、新たな展開につながる会議となることを強く望む」とあいさつ。

秋篠宮さまは「一人一人が問題に関心を寄せ、行動に移していくことが大切。会議が世界の人々に湖沼の重要性を訴える場になるとともに、人と湖沼の共存について有益な意見交換がなされることを期待いたします」とお言葉を述べられた。

来賓の石井啓一国土交通相、三日月大造滋賀県知事、国連環境計画国際環境技術センターのキース・アルバーソン所長らが祝辞を述べ、山岡恒夫県議会議長が歓迎のあいさつを述べた。

14日の学生会議の参加者を代表し、稲敷市立浮島小の黒田里瑚さんと水戸英宏中の中沢凪さん、逆川こどもエコクラブ(水戸市)の川島英登史さんが総括報告を行い、「自分たちにできることを継続していく」などと発表、本会議参加者に思いを託した。

午後からは茨城大の三村信男学長が「地球環境の変動と湖沼の未来」と題して基調講演。海外の研究者による「湖沼セッション」も行われ、国境をまたがる湖沼や湿地の保全に向けた流域間連携の在り方について活発な議論が交わされた。

世界湖沼会議は琵琶湖がある滋賀県の提唱で84年に大津市で初めて開かれ、日本開催は95年のつくば・土浦両市、2001年の大津市に続き4回目。会期中は政策フォーラムや分科会、視察会など多彩なプログラムが予定され、最終日の19日に会議の成果を加味した「いばらき霞ケ浦宣言」を採択する。

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