《旬もの》吉原農園(つくば市) 多彩な20種、ミカン栽培

茨城新聞
2017年12月3日

筑波山の麓でミカンを栽培する「吉原農園」。間近に迫る男体山を背景に、2メートルほどの木につややかなミカンがたわわに実る。なじみのある温州みかんをはじめ、いろいろな品種の柑橘(かんきつ)が約300本植えられており、12月中旬まで直売とミカン狩りが楽しめる。「食べ比べて好みの味を見つけて」と園主の吉原邦治さん(66)。

57歳のときミカン栽培を始めた邦治さんの本業は石材業。「土いじりを始めたら面白くて、一から学んでいる。生産者としておいしいものを作りたい。そのためには努力しなきゃ」と熱く語る。花芽がつく前に消毒を行い、無農薬で栽培する。毎朝早くから一本ずつ木の状態を見て回り、虫を捕る。

育てている品種は「とげのない温州みかんやとげのある柑橘など、個人で楽しむ分も含めると約20種類」と多彩。味のよい「べにばえ」「スイートスプリング」など聞きなれない柑橘も積極的に栽培する。「どんなミカンを植えたらいいか。どんな肥料がいいか。肥料をやるタイミングで味は変わる。勉強しないと駄目」と思いを込める。理想は「味のバランスが甘いだけじゃない、糖度と酸味が6対4」。

吉原農園があるのはつくば市国松の台山という集落。台山でミカン作りを行っている5人が「地域を盛り上げよう」と3年前に「国松台山みかん園」を結成した。メンバーは「吉原果樹園」の吉原喜市さん、「筑波の百姓」の酒寄基男さん、「筑波山みかんの里」の飯村茂雄さん、「オレンちファーム」の酒寄晃さんと、邦治さん。この日、吉原農園に集まった4人は「組合のようなもの。うまいミカンを作ろうとみんなで研究中」と声を合わせる。「無農薬で味の濃い消費者が求めるミカン作り」を目指す。

5人は60~70代。元会社員や自営業など職業はばらばら。定年退職や60歳を過ぎてからの「第二の人生」を考え、個別にミカン栽培を始めたという。それぞれのペースでミカン園を営んでいる。

花の咲く5、6月、ミツバチ交配のため市内の養蜂所が巣箱を置き、ミカンの蜂蜜ができた。根を掘り起こすイノシシが目下の悩みという。国松台山みかん園として「3年後、まとまってミカン狩りツアーができれば」と活動の本格化に向け力が入る。 

■お出かけ情報
吉原農園
▽住所はつくば市国松1809
▽来園は電話で予約。(電)090(7835)8446

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