《旬もの》沢辺茶園(つくば市) こだわりの深蒸しと蜂蜜
筑波大学近くに広がる緑の茶畑。つくば市の沢辺茶園代表の沢辺稔さん(71)は妻ののぶ子さん(68)らと新茶作りに追われている。新芽を摘採し、その日のうちに加工する。沢辺さんのもう一つの顔は養蜂家。春になると花の咲く場所にミツバチの巣箱を置き、蜂蜜を採る。新茶と蜂蜜で、5月は特に忙しい。「街の開発は進んだが、茶園のある辺りは昔の農家の風景が残る。巣箱を設置するのは市内だけ。茶も蜂蜜もつくば市産にこだわりたい」と地元への愛着を語る。
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20歳のころ、静岡県でミカンの収穫を手伝ったところ、茨城での茶の栽培を勧められ、静岡と茨城の茶どころで修業した。実家は葉たばこ栽培農家だったが、25歳の時茶園に切り替えた。
茶の栽培から加工、販売まで一貫して手掛ける。客の声を直接聞きながら茶作りに励む。特にこだわっているのが「生産では堆肥を使った土作り、製造では深蒸し」。生葉を蒸す時間が味の決め手。長めに蒸す深蒸しは茶葉が細かく仕上がるが、とろみや甘みが際立つという。
ペットボトルが隆盛の時代。急須で入れた茶のおいしさを伝えようと茶摘み体験教室を毎年実施。今年も参加者が新芽を摘み、手もみなどを行い、新茶作りを体験した。
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一方、養蜂は約10年前、趣味で友人と始めた。養蜂を通じて花の種類や季節の移り変わり、自然環境などに関心を持つようになった。「ミツバチは本当にかわいい」と表情を崩す。趣味が高じ、昨年から蜂蜜を商品化し販売する。
蜜源となる花は市内に咲くミカンやウワミズザクラ、ユリノキなど。「花によって味も色も香りも違う」。4月下旬から筑波山麓のミカン園にミツバチの巣箱を置く。花が終わるころ採蜜。のぶ子さんと手動の分離器で搾る。ミカンの花の蜂蜜は6月に販売予定。「昨年のミカンの蜂蜜は売り切れた。商売をするにはミツバチの数が少なく、生産できる蜂蜜に限りがある。数を増やしたい」と意気込む。
「危ないイメージを持たれがちなミツバチの生態や蜂蜜の効能を知らせたい」と今年、巣箱の中の確認や、蜂蜜搾りを体験するミツバチオーナー制度を始めた。募集は終了。
夢は茶の花の蜂蜜を売り出すこと。秋に白い花を咲かせるが、ミツバチを冬越しさせるため商品化が難しいという。実現に向け研究中だ。
■メモ
沢辺茶園
▽住所はつくば市要244
▽営業時間は午前8時~ 午後7時
▽定休は日曜
▽(電)029(864)0989
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