模刻・修復の仏像紹介 水戸・常陽資料館 茨城県内最古の不動明王像も
茨城新聞
2022年10月21日
日本各地の仏像の模刻・修復作品を紹介する「日本の仏像展」が、水戸市備前町の常陽史料館で開かれている。古典的な木造彫刻技法を研究する東京芸大大学院の協力を得て実現した。学生らによる精巧な模刻作品のほか、平安時代の作とされる「水戸市神崎寺木造不動明王立像」が修復され、初公開されている。
展示されているのは、高さ2メートルを超す奈良県桜井市の「聖林寺十一面観音菩薩立像」を含む8体。同大学院の保存修復彫刻研究室の学生が、それぞれ1年かけて模刻した。透過X線撮影や3次元計測などの最新技術を駆使して制作。経年による変色やひび、くすみまで再現している。
茨城県関係では、不動明王像として県内最古とされる「水戸市神崎寺木造不動明王立像」が修復され、初めて公開された。ケヤキの一木造りで、虫食いなどにより自立できない状態だったが、同研究室が丁寧に修復作業を重ね、美しくよみがえった。
会場には仏像とともに、制作過程を解説するパネルを展示した。同館主任学芸員の大曽根麻希子さんは「模刻の高い技術とともに、貴重な仏像を間近に見る機会。制作工程と合わせて鑑賞してほしい」と話している。11月13日まで。午前10時から午後5時45分。月曜休館。入場無料。