若冲の「菜蟲譜」目玉に 佐野市吉澤記念美術館 開館20年で特別企画展 前期は江戸絵画82点

下野新聞
2022年10月21日

【佐野】今年で開館20周年を迎えた葛生東1丁目の市吉澤記念美術館で、節目を記念した特別企画展「コレクションは文化のタイムカプセル」が開かれている。11月13日までの前期と、同19日~12月18日の後期に分けて同館のコレクションを公開。前期は江戸時代の画家伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)の晩年の代表作「菜蟲譜(さいちゅうふ)」などを展示している。

同館は2002年6月に開館した。葛生地区の旧家・吉澤家で江戸時代から集められた美術コレクションを所蔵している。

前期の展示は、「吉澤コレクションから見る江戸絵画」がテーマ。

コレクションの始まりとなった江戸後期に注目し、当時活躍した画家の作品や資料など計82点を紹介している。

目玉は、天才画家と呼ばれた伊藤若冲の菜蟲譜。09年、国重要文化財に指定された作品で、全長約11メートルに及ぶ絵巻に、約160種類の野菜や昆虫などが色鮮やかに描かれている。

展示する場所の都合上、絵巻の全てを広げることができないため、6メートルほどの前半部分を今月30日まで、残りの部分を11月1~13日に公開する。

さらに、吉澤家の吉澤松堂(よしざわしょうどう)と画家高久靄厓(たかくあいがい)の初公開作品や、2人が交わした手紙もある。

同19日からの後期展示では、明治期から昭和初期にかけて収集された作品を紹介する。

末武(すえたけ)さとみ学芸員は「作品と資料を一体的に展示することで、江戸時代の人々がどのように絵を楽しんでいたのか、絵を愛する心のタイムカプセルを楽しんでほしい」と話している。

午前9時半~午後5時。月曜休館。観覧料520円。(問)同館0283・86・2008。